いつまでも,いると思うな家に嫁

文戸玲

冴えない気持ち

「トオルさん,彼女に同じものをもう一つ。すみません,おいしそうに飲むなって思って。・・・・・・ここであったのも何かの縁ですね。今日はごちそうさせてください。そういえば,名前を伺ってませんでした」

 おいしそうに飲んでいたように見えたんだな。なかなかの量を一気に飲んでしまったので今思えば不自然な感じがした気がしたが,少しだけほっとした。

「そんな,ごちそうだなんて,やめてください・・・・・・。トオルさん。私,ギムレットが飲みたいです」

 初めてバーテンダーの名前を口にした途端,体温が急激に上昇した。顔に出ていないか,頭から湯気が上がっていないか不安になる。こんな気持ちになったってしょうがないのに。


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