いつまでも,いると思うな家に嫁
堰を切った
「ねえ,自分のことが何だか分からないってことある? ある時はご機嫌なのに,その次の瞬間にはいらいらが積もってきていてあっという間に沸点をとうに超えているの。そうしてぐつぐつと煮立っている間にあいてにその熱が移ってどうにも収拾がつかなくなる。そうして相手と私が同じ熱さで向かいあっているのだけれど,だんだんと自分が嫌になってくるの。自分の熱でやられているみたい。知ってる? カメムシって,密封状態に閉じ込めて自分の異臭を臭わせたら自分の臭いで気絶してしまうんだって。それって・・・・・・まるで今の私みたい」
喉が縮こまって呼吸がしづらい。出来るだけ穏やかに,ユーモアを交えて,笑いながら話をたかった。それでも,真剣な様子で聞いてくれる夏妃の顔を見ながら話をしていると自然と声が小さくなって,涙がこぼれてきた。夏妃は何も言わずに私の話を聞き続け,ダメな私を受け入れてくれた。
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