いつまでも,いると思うな家に嫁

文戸玲

彼について①

 あの日の甘くて素敵な夜について話す前に,彼との出会いについて。
 彼との出会いは唐突だった。特に出会いを求めていたわけではないが,私は月に一回ほど定期的に開かれる独身の友達が集う合コンに参加していた。その中でもバツイチは私だけだが。
 ある日,キャリアウーマンとしてばりばりに働いていた同級生から誘いがあった。いつも合コンと言えば初めましての集団で飲み始めて,お酒が回ると楽しくなってきて,そこで良い感じの人がいるとそのあともあるし,一夜限りということもある。今回も何の気なしにその飲み会に参加すると彼がいたという訳だ。
 半個室の部屋に入ると,そこにはあか抜けて落ち着いた雰囲気の男性陣が迎え入れてくれた。合コンにいくらか参加すると,いくつかのパターンに分かれてくることが分かった。経験の薄い会に浮足立っている連中,出会いを求めて手当たり次第に相性も考えずに手を出してくる男ども,一夜限りのワンナイトしか頭にないお盛んなサルたち。その日は間違いなく当たりの日だった。とりわけ,時間を持て余して約束の時間が来るのを待っている友人と明るく話していた彼は始めから好印象だった。

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