魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

エレイン法国⑨

死神の広野を走り続けて早3日、俺たちは
何事もなく今も今とて広野を進み続けて
いた。特にやることもなく最初の方は
気を引き締めて常に周りをスキルで
確認して、敵が来ないかどうかなどを
かくにんしていたが、今はというと、
SSランクのモンスターどころか他の
弱いモンスターすらでてこず、一応スキル
で周りを確認している程度になっている。
他の馬車の皆もこんな感じだと野宿の
さいに聞いているため、特に何の不満も
出ず、今日もなにもない一日なのだと
皆が理解していた。と、その時!俺と
エマさんの気配察知のスキルに反応が
あった。それも、とんでもなくデカイ
反応が。その後の俺たちの反応は早く、
素早くエマさんが、念話で周りの馬車に
以上を伝え、すぐさま全員がこの場を離れる
ことに成功した。安全なところまで逃げ、
馬車を開け、外を見ると、俺達が
さっきまでいた場所に、人の形をした
ゴーレムがいた。それは、静かにただ
佇むようにその場にいた。
まるでもう全てがどうでもよくなって
しまったかのように。それはゴーレムだと
知っていなければ誰もがただの人間だと
思うだろう。それぐらい良くできた、
精巧に作られているゴーレムだった。
大きさは2メートルほどで、この世界
の住人からしたら、少し高いぐらいだ。
片手には自分の体よりもデカイ盾を、
もう片方の手には剣が握られている。
一目見ただけで業物とわかるような剣だ。
その昔、本当に昔の昔、この場所はその
当時世界を支配していた国の王都がある
場所だった。その国の科学力は凄まじく
ロストアーティファクトすらも
造られていたと言われている。そんな
すごい国がなぜ、滅んだかというと、
仲間割れだ。科学力が発展に発展を
重ねた結果、仲間割れが起き、それが
もとで、様々な兵器が造られるようになり
その最中に何かが爆発して滅んだと
いわれている。国がたった一夜にして
滅んだのだ。人間の強欲によって。その
生き残りたちが聖女を先頭に造った国が
エレイン法国だと言われている。つまり、
あのモンスターは、その時の仲間割れ
の時にどちらかの手によって造られた兵器
の生き残りなのではないかと言われている。
それは何も見つからなかったのかいつの
まにかいなくなっていた。それがいた場所
にはもとからなにもいなかったかのように
それがいたとは誰もがわからないぐらい
元々の場所と同じだった。その場所には
足跡すらなかった。そう足跡がなかった
のだ。確かにその場に、あの場にあいつ
がいたはずなのに。そのことに驚いていた
俺だったが横を見るとエマさんもそのことに
気づいたのか驚愕の目をしていた。だが、
そんなエマさんの口は笑っていた。まだ
見ぬ敵に喜んでいるように、強いものを
倒せることにただ心のそこから沸き上がる
嬉しさを噛み締めるように。

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