魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

黒幕捕獲②

俺たちが岩場で発見した黒幕たちは今、
公爵家の地下牢で拘束され、俺たちの
目の前にいる。竜との戦いでのこの町の
被害はというと、住民は怪我人は何名か
いたものの重症者は一名もおらず、死者も
奇跡的にいなかった。町は竜が墜ちた時の
衝撃で公爵家前の広場に大きなクレーター
ができているのと周辺の家に小さくはない
ダメージが、それと、黒幕たちを捕まえる
ためにエマさんが放った魔法で、至る
ところが、燃えてしまった公爵家裏の
岩場だ。竜の襲撃でそれだけの被害だった
のだから十分だと公爵様はおっしゃって
いたが、どうしても俺がもっと強ければ。
と後悔をしてしまう。公爵様はそんな俺の
心境を知ってか何も言ってはくれなかった。
そのお陰で俺はもっともっと強くなら
なければいけないと強く思うことが出来た。
少し話がずれたが、竜は討伐したあとに、
ドロップアイテムだけとなり、Sランクの
赤竜の鱗を落としていった。これを売った
お金だけでこの町の復興にお金を当てても、
少なくない額が残るだけの値段がする
そうだ。やっぱりSランクの素材という
のは本当に貴重なものなのだろう。おっと、
話がずれてしまったのでさっそく本題に
入らせてもらおう。
俺たち(カイ、エマ、公爵、アクア)は今、
地下牢の前で黒幕たちから事情聴衆を
している。本来は拷問をしてからだと
思っていたのだが、どうやら、黒幕の
リーダーが帝国へと亡命を希望している
らしく簡単に情報をはいてくれた。
俺はこいつの話を、魔眼を使って聞いて
いた。嘘を言っていないか見分けるためだ。
でも、どうやら、こいつの言っている
ことは一言一句正しく本当に帝国に亡命を
希望しているのだとわかる。

バロン「まず、私の名前はバロン。
ホルドン皇国で皇子直属教師をしている。
また、一応伯爵の地位をいただいている。
私の知っていることなら全て話そう。だが、
その代わり私たちとその家族をこの国に
亡命するのを許して欲しい。おそらく、
いや、十中八九私たちはこのままあの国に
帰ると殺されてしまう。」

オルディス「うむ、お主の話が本当だと
して、どうして、伯爵という地位を得ている
お主が亡命まで考える。この事件は皇子
だけの仕業じゃないのか?皇子の私欲で、
起こした事件で伯爵で、しかも、皇子直属
の教師であるお主が死刑になるとは考え
られん。」

バロン「あぁー、そうだ。今回の事件は
俺があのバカ皇子に言われて起こした
ことだ。目的はアクア王女の奪還。」

アクア「奪還?私はもとから皇子の物
ではありませんよ。あったのも、このまえの
庭で会っただけですし。」

バロン「あぁー、そうだ。だが、あの
バカ皇子は「俺のアクアを奪還しろー!」、
なぞと、ほざいていた。あのバカ皇子は
少し皇帝に甘やかされて育ち過ぎて、
自分の思い通りにならないことなどないと
思っているんだよ。このままあの国にいても
あの皇子が皇帝になったら、国は滅んで
しまう。私も、欲しいものがあってバカ皇子
に協力していたがもうそれも叶わない。
残り短い時間を家族と過ごして行きた
いんだ。」

オルディス「残り短い?それはお主の
命がか?」

バロン「いや、私の愛する一人娘の
エリスがだ。エリスは昔から病弱な子で、
ずっと家で外に遊びに行くことも出来な
かったのだが、数年前に病状が悪化し、
医者にあと数年しか生きられないと
いわれてしまった。娘を救うには、
ホルドン皇国が持っている。王家の宝の
どんな病も直すSSランクのアイテム、
不死鳥の羽が必要だったんだ。だから、
俺はそれを手に入れることが出来る
皇子に協力して、それを手にいれようと
していた。本当に羽のためとはいえ、
アクア王女には申し訳ないことをした。
本当にすまない。」

アクア「いえいえ、もう、過ぎたことです
から。私の体にはなんの傷もついていま
せんしそんなに気になさる必要はありま
せんわ。ところで、本当に娘さんを助ける
方法はそのアイテム以外になかったの
ですか?」

バロン「いや、方法はあった。それは、
聖女様に病を祓ってもらうことだ。だが、
聖女様に病を祓ってもらうなんて、各国の
王たちでも簡単なことではない。方法は
あるにはあったのだが‥‥」

アクア「その方法とは何ですか?
もしかしたら何か手伝えるかも
しれません。」

自分を襲った人たちにもこんなに優しい
なんて本当にアクアは心優しいなー、
なんて考えながらアクアを眺めていたら
エマさんに睨まれたがバロンさんの
言葉で木を引き締め直した。

バロン「それはエレイン法国が、
数年前に出したお布施のようなもので、
この世の何処かにいるすべてのスキルの
取得方法を知ることが出来る魔眼を持って
いるものを探しだし聖女様の元に
連れてこい。という内容のものだった。
連れてきたものにはどのような願いも
聖女の名の元に叶えてしんぜよう。
というものだったが、そんな人間いるはずも
なく、俺は諦めざるをえなかったんだ。」

その時、この場にいる3名がカイの方に
顔を向け同時に叫んだ。

3名「カイ君!!、それって君のこと
だよね!」

っと、その時本人は

カイ「えっ、俺!」

と何とも間抜けな顔をしているのだった。

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