魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

オルディス公爵家⑩

火の玉が俺を貫いたかと思われたその
さなか、火の玉が一瞬で消えた。いや、
真っ二つになって、地面へと消えていった
のだった。俺の目の前に立つオルディス
公爵によって。

オルディス「大丈夫かい?カイ君。
よく頑張ってくれた。ここからはわしの
仕事だね。」

カイ「ありがとうございます。オルディス
様。では、自分も微力ではありますが、
残りの力をふりしぼさせていただきます。」

エマ「私の力もどうぞ頼りにしてください。」

オルディス「ありがたい。力にさせて
もらうよ。」

そう言って、兵士へと指示を出す公爵。
流石公爵家の兵士だ。全員がそこそこの
実力を持っていて、しかも経験豊富で
連携も取れている。すごい。俺は素直に
感心していた。そんななか公爵様が兵士へ
の指示が終わり俺の方へと顔を向け直す。

オルディス「カイ君、エマ君なにかいい
作戦があるかい?」

エマ「そうですね。それで、倒せるかは
わかりませんが、少しやってみたいことが
あるのですが、時間稼ぎの方をおねがい
できませんか?」

オルディス「もちろんだとも、なにか
策があるというのだったらその策に乗ら
してもらおうじゃないか。」

カイ「俺もそれで問題ありません。」

エマ「ありがとうございます。それでは
5分ほど時間を稼いでいただきたいのですが」

オルディス「わかった。5分と言わず、
何分だって耐えて見せよう。」

カイ「微力ながら俺もお手伝いさせて
いただきます。」

エマ「はい、心強いです。では、また、」

そう言うとエマさんは後方に下がり、
瞑想をし始めた。どうやら、回復に励む
らしい。その行動を見届けて俺と公爵様は
ドラゴンへと向き合う。ドラゴンはブレス
をはいたあとで、疲れていたが、どうやら
俺たちの話の間に治ったみたいだ。

オルディス「では、私たちもそろそろ
働かせてもらおうかな。」

そうニヤリッと笑って、剣を腰から抜く
公爵。俺もそれに習って剣を構える。
公爵様が使う剣は特殊な剣で、この世界に
たった一つしかない。そうした、特別な
武器にはなにかしらの、特殊能力が
備わっている。そんな武器たちを総称して

失われし遺失物ロストアーティファクト

という、ロストアーティファクトの中にも
ランクがあり、

神話級
逸話級
伝説級
秘宝級

という、4つに分けられる。最低ランクの
秘宝級でも、Sランクの武器と同じ性能が
あり、そこに特殊能力が付くので、
それは信じられないほどの威力を持って
いるがロストアーティファクトは持ち主を
武具がきめる。そのため、入手方法は
様々にあるが、一度手に入れると、その
所有者以外にロストアーティファクトを
使うことは出来ない。ゆえに、ロスト
アーティファクトは強さの証明として、
手っ取り早いものであり、この世界の
人々全てがほしがっていると言っても
過言ではないのだ。その数は、正確には
わかっておらず、この国にも、わかっている
だけでは20個ほどしか、判明していない。
公爵が持つ剣はその中の一つあり、
公爵が、昔、SSランクの魔物を単独で
倒したときに武器に認められ、手に入れた
ものだ。名を、

「刃魔剣ジャックザリッパー」

正真正銘の伝説級アーティファクトだ。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品