魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

オルディス公爵家⑧

俺はまず、常時縮地を発動させ、ドラゴン
を翻弄するために動いていた。作戦の第1
段階はやっぱり、時間を稼ぐことだ。
このドラゴンは操られているため、体が
本当は動かなくても、それを無理やり
動かしているのだろう。しかも、たまに
動きが止まるときがある。これは、ドラゴン
が洗脳の首輪に対して反抗している証拠だ。
ならば、倒さなくても、致命傷になりうる
攻撃を洗脳の首輪に対してぶつければ
おそらくドラゴンは体力の限界が来て倒れる
はずだ。それに大切なのはドラゴンを倒す
ことではなく、このドラゴンに洗脳の首輪を
した犯人を探すことだ。そのためにも、
時間を稼ぎ公爵様達が来ることで、怪しい
やつが見つけやすくなるはずだ。この
ドラゴンに付けられている洗脳の首輪は
おそらく誰かが操作をしているのだろう。
ならばドラゴンが見える場所に犯人がいると
見て間違いない。その犯人を捕まえることが
今一番大切なことだ。まぁー。さすがに
ドラゴンと戦いながら人探しなんて出来る
はずがないから今はしっかりと時間を
稼がせてもらう。実際に縮地を常時発動する
ことはなかなか実践ではなく大変だが、
それでも、こんな俺が、ドラゴンと対等に
戦えているのが楽しくて不謹慎だが、俺は
今戦いを楽しんでいる。だが、ドラゴンも
そう簡単には時間を稼がせてくれない
みたいだ。ドラゴンは定期的にブレスなど
を発動させてくる。だが、動きが素人で、
読みやすく、確かに空にいるというハンデは
あるが、ここまで動きが読みやすいとその
ハンデも半減だろう。おそらく、操作を
している人間があまり戦闘をしたことが
ないんだろうな。だが、やはり、ドラゴン
はドラゴンだ。もともとのステータスが
高いぶん、かすり傷でも致命傷になりうる。
そんなことを考えながら、俺はドラゴンへと
向き合っていた。その視線の先に、公爵様と
その兵士たちの軍をとらえながら。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品