魔眼使いは冒険者に憧れる

カイン

訓練開始⑤

かれこれ俺は化け物と2時間ほど戦い続け
ている。本当の俺の実力だと、こんなに
持たないが、エマさんが、たまにくる、
ブラッドコアデビルを倒してくれたり、
俺が本当にヤバくなると、少し手伝って
くれたりしてくれている。それのおかげで
俺はこんなにもギリギリの戦いを
楽しめている。そう、俺は戦いを
楽しんでいるのだ。俺は化け物と戦い続け
て、30分ほどして、俺の中で、なにかが
弾ける音がした。それまであった、
しんどさとか、体のダルさとか、そんな
ものが、一気にぶっ飛んで、俺の中に
あるのは、ただ終わらない戦いに対する
喜びと楽しみだけだった。俺は今どんな
顔をしているのだろう。そんな考えも
いつしかなくなり、俺はただ、目の前の
化け物を倒すだけの殺戮マシーンへと
変わっていく、だけど、不思議と嫌な
感覚はなく、俺はこのために、戦って
いるんだという気になる。だけど、
それでも狂化のときとはちがって、
周りのことがよく見えている。エマさんの
ことも見えるし、敵のことだって、
わかる。相手がどう来てどう攻撃するのか
不思議とそんなこともわかるようになって
いる自分に驚きもしていないことに俺は
自分は変化しているんだな、と感じる。
そんなことを思っている間も俺は化け物の
首を切り続ける。その血の匂いにまるで
うじ虫のようによってくる化け物どもに
俺は笑いをおさえられず、ますます剣を
化け物どもへと向ける。その途端、

バタッン

俺の意識は途切れた。

「お疲れ様。」

と優しく言うエマさんの声を聞きながら。



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