しまおのみち、しまおのへんか。

Tea こうちゃ。

二話

5月になり学校の行事で1日遠足があり

岡山の倉敷に行くことになった。

現地では自由行動の時間があり

その班決めをするときになぜか

「綺子」と一緒の班になった。

嬉しくて、うれしくて。


どう表現したらいいのかわからないくらいだった。


「これで「綺子」と一緒にいれる。」


「もしかしたら話せるかも」


そんな淡い期待を膨らませて

いざ当日。


男子3人、女子3人の班に分かれて行動。





前日の妄想では楽しい自由行動に

なっていた。



しまおが「綺子」に

 どこに行きたい?



「綺子」が

 何か食べたいかな。



 じゃ、ソフトクリームは?



 いいねー。



 バニラ?ミックス?



 じゃ、私、バニラにするわ。



 じゃ、僕、ミックスにするわ。



 おいしいね。

 ちょっとちょうだい。



 う、うん。



 ミックスもおいしいね。




妄想では、サラサラしゃべれてた。

なんと楽しい時間なんだろう。

こうなる事を考えて

ドキドキして

一睡も出来なかった。




が、現実は甘くなかった。



「綺子」にしゃべりかけることも

出来ないまま、歩いてた。



途中からは男子3人、前を歩いて

その後ろ数メートル離れて

女子3人がついてくるという

全く意味のない

全く妄想とは違う

そんな自由行動になってしまった。


しゃべれないのは、仕方ないとしても

なぜ前を歩いてしまったのか。

後ろなら、まだ

「綺子」を見ながら歩けたのに。


そんな事を思いながら歩いてた。


その状況を打破する力はしまおにはなかった。

結局、ひと言も話すことは出来なかった。




その後、全員集合してお昼を食べた。


食べながら、しまおは



なにやってんだ!

こんな機会はもうないのに!




やっぱり、僕はダメなんだ。




僕なんかと「綺子」はしゃべってくれる
 
わけがない。



僕みたいなのが痴がましい。





わかってたよ。



僕みたいなのが無理やって。



でも、ちょっとは期待するやろ。


ひょっとしたらって。





わかってるよ。





楽しくなるはずの自由行動は

こうして終わった。




しまおは、自由行動のことしか

気にしてなく、

この後の予定を知らなかった。




そう。


「綺子」と初めて話す事になるなんて。











 

 

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