美女女神から授かったチートスキル〜魅了〜を駆使して現代社会でたくさんの嫁を娶りたい!

月風レイ

青年編 第37話 温泉旅行①

大陽が東の山から顔を覗かせ、よもぎ町の土埃が陽光を反射させて、あたりを白くかすめている頃、よもぎ町にある駅、よもぎ駅にて。
水色の髪の一人の女の子が誰かを待っているのか、キョロキョロまわりを眺めて、時計を何度も確認していた。

「約束の日って今日だったよね……それに時間もしっかりと伝えておいたのに……敦子ちゃんはまだ来ないのかしら?」

もう一度、水色の少女は時間を確認して、時計がしますのは時刻9時10分。
と、水色の髪の少女が時計を確認しているところに、ようやくお待ちかねの人物が……

「ごめんなさ〜い。ちょっと用事が色々とあって遅れちゃいました……」

「あっ! 敦子ちゃん、来てくれたのね」

「はい! でも、ごめんなさい……約束の時間は9時だったのに遅れてきてしまって……」


「いいのよ。気にしないで。遅れたっていってもたったの10分くらいじゃない」

「ありがとございます。でも、なんか意外です……」

先輩って普段のイメージからすると時間に厳しかったり校則に厳しかったりしそうなのに、遅刻を咎めないなんて。


「そう……かしら? わたしはそんな10分くらいで機嫌を悪くしたりなんかはしないわ……器は大きい方だと思うわよ!」

「ふふ。そうなんですね。先輩の大きな器に甘える事にしますね!」

「うん。そうしてちょうだい! んじゃあ。温泉旅行の始まりとしましょうか?」

「はい! そうしましょう! で、場所はどこなんですか?」

「あれ!? 言ってなかったけ?」

はい。全く聞いておりませんよ。聞いたのは温泉旅行に出かけようと言うことだけですから……

「まぁ。じゃあ、わたしについてきて!」

おぉ。何と頼もしい。これでこそ年上の女性って感じだよな。男の俺は大抵デートの時は自分でリードをしないといけない。
こうやって、女の子に引っ張っていってもらえるってのも新鮮な感覚でなんだかドキドキするな。

「はい! 先輩について行きます!」

「それで……今日遅れたみたいだけど、どうして遅れたの?」

「あ、あの…………」

俺が今日遅れたのは、目覚ましがギンギンと鳴っているのにも関わらず惰眠を貪って寝坊をした……
なんてことは今回ばかりはそんな理由ではないのだ!
俺は今日、この日を本当に本当に楽しみにしていた。
久しぶりの土日二日ともの休暇に温泉という極楽へ行って、精神の滋養ができる。
そ・れ・に・
今回は何も躊躇うことなく、それに合法なルートで氷堂先輩の裸、つまりおっぱいが拝めるのだから!
敦子に変身した俺は男性に対して氷結な氷堂先輩を独り占めすることができるのだ。

隣で眠っている氷堂先輩をあんな風にこんな風にして……
闇に紛れて、あんなことやこんなことや……
絵面として女の子同士がイチャイチャキャッキャする百合物になってしまうのが非常に問題があるのだが、大いに結構。
結局俺以外にそれを気にする人はこの世には存在しない。

私(俺)の前であの『氷姫』の男に対して冷たい表情が崩れるのが見てみたい……
男として当たり前であろう欲望の力によって俺は昨晩6時に設定しておいた目覚ましがなる前に起床することに成功した。
やはり、人を動かすのは金でも人でもない。なんらかのうちなる願望。これこそが本来人間を突き動かすものである。
俺は心清々しくベットの上を抜け出し、いつも通り、起きて顔を洗い、服に着替え、土日でまだ皆が起きていない間に朝食を済ませ、葉を磨き、身嗜みを整えた後、そのまま何も言うことなく、旅行用の鞄を持って外へと出ようと思った。

今回の氷堂先輩との旅行において、俺の荷物の中に男物が入っていると、思わぬ誤解を氷堂先輩に与えてしまうかもしれないので、出発前で自室で入念に荷物の確認をして、そのあとは外に出た後、敦子の姿になるために外へと出ようと思ったのだが……

ここで問題が発生。
俺はすぐ家を出ようと思ったのは母さんや希には姿を見られたくなかったからだ。
俺は変身して姿は変えられるものの、持ち物までは変えられない。
つまりここで妹や母さんに見つかるとここで変な誤解を生み出してしまうのだ。
そんなことは絶対に避けたいがために早めに起きて、出た後旅行に行くことをメールかなんかで送って……
なんて俺は計画をたてていたのに、やはり女の嗅覚というものは侮れないものである。

「にいさま! こんな朝早くにどうしたんですか? それに今日はにいさまはお仕事もお休みのはずですよね!」

薄ピンクのパジャマを着て、目を擦りながら妹の希が俺に朝起きたばかりとは思えないばかりに詰問を始める。
ここはとりあえず爽やかな朝にぴったりな挨拶をっと。

「おう。おはよう! 希。昨日はよく眠れたかな?」

こんな心地よい朝にはピッタシの爽やかな挨拶を。

「おはよう……じゃありません!」

「なんだよ? 希……そんな朝からプンプンしちゃって?」

太陽も暖かく降り注ぎ、風もそよそよと吹いているこんな気持ちよい朝にどうして妹の希はこんなプンプンしているんだい?
今日はアレの日なのかな〜?

「希はプンプンなんてしてません!」

「いや……プンプンはしてるだろ?」

「今は希がプンプンしてるしてないの問題はどうでいいんです! こんな朝早い時間にぐうたらのにいさまが外に出て行こうとするなんて……怪しいです!」

「おいおい……兄ちゃんちょっと傷つくぞ? いつもぐうたらなのが判断材料なのか?」

いやぁ。確かに普通の休日は昼間までぐうぐう寝てるかもしれないよ? 学校行く平日は希に起こしてもらわないと起きれないんだけど……仕事の時はしっかりと自分で起きるし、やる時はやるんだよ? 兄ちゃんは!


「それに……ピンクのスーツケースを持っていくなんて……何を考えているんですか?」

くそぉ……これを見つからないようにするためにわざわざ朝早くに起きたというのに、なんてタイミングの悪いやつだ……
今回は厄介なやつに見つかってしまった……

「な、何言ってんだよ……兄ちゃんはピンクが大好きなんだぞ?」

苦しい言い訳ではあるが黙りこむ方がより疑念を抱かせてしまうかもしれない……

「へぇ〜。そうなんですね……じゃあにいさま……先程にいさまを起こそうと部屋に入って落ちていたこのピンクのパンツもにいさまのご趣味ということですか?」

「げっ!?」

希が指に引っ掛けて、俺に見せてきているのは……ピンクの女性もののフリフリのパンツ。

「げっ!? ってことはなんかやっぱり隠しているんですね?」

「そんなパンツに見覚えなんてないぞ!」

いや……嘘である。完全に既視感がある。俺は鞄の中身を確認する際にそのパンツを見た。だが、何故かパンツが外に落ちていた。
謎である。だが、そんな謎解きをする時間はない……それに……

くんくん。くんくん。
希が指に持ったパンツをくんくんと嗅いでいる。
「おかしいですね……このパンツは他の女性のものだと思ったのですが……このパンツからはにいさまの匂いしかしませんね……」

なんだ、こいつ……確かに俺はそのパンツを試しに履いてみたよ……だから俺の匂いがついているのはいいとして、それでいいんだろうか?
女のもののパンツを履いてる人なんて思われたら……兄として失格だ。

「これは……希のパンツだ……ごめん、希……お前のパンツが欲しかったんだ……」

女物のパンツを履くお兄ちゃんと女物のパンツを盗むお兄ちゃんあなたならどちらを選ぶであろうか……
俺はここで究極の選択を迫られた。
どっちが兄としてより真っ当であろうか……
事実は女物のパンツを履くお兄ちゃんなのだが、絵面を想像しただけで身の毛もよだつ。
ピンクの白いフリフリパンツからニョキッと出てくるキノコ……
あぁ……ダメだ……これだけは……

「でも……これ、わたしのじゃあないですよ?」

うん。そうだ。そのパンツは俺のものだ。お前のものの筈がない……
だが、ここは強引にもお前のパンツって事にしたいんだ……
別に母さんのパンツでも良かったのかもしれないが……

「実はな……そのパンツお前に買ってきたパンツなんだ……でも、その前に少しばかりな……」

あとは言わない、希の想像に任せる。
俺は詳しくはなんとも言ってない、だから後で責任から逃れることができる……こんな嘘普通なら見抜かれるのだが……
ここはやはり俺の妹だけはある……

「にいさま……希に渡すパンツをそんな風にしたいと思うくらいに希のことをお慕いしてくれているのですね!?」

はい。馬鹿である……
正真正銘の馬鹿である……
なんであげるパンツに自分の匂いを染み込ませて渡さなきゃいけないんだよ……
今更感はあるがあえて言わせてもらうおうか……気持ち悪すぎるだろ……
まぁ、ここは切り抜けられるならそれでいい。

「あぁ……兄ちゃんも仕方がなかったんだ……あんまり希が可愛いから……」

「えへへ。可愛いなんて……もぉーお! にいさまったら」

はい。ちょろい。こいつマジでちょろい。
一言可愛いといえば他のことなんてどうでも良くなって……

「にいさま……可愛い可愛い妹のお願いならなんでも聞いてくれますか?」

こいつ。いきなり何を言ってるんだ? まぁ別に妹のためなら俺だって一肌や二肌くらいなら脱いでやっても構わないが……

「あぁ。可愛い妹のためだ。なんでもいいぞ?」

「えへへ。じゃぁあ!」

妹は嬉しそうな口調で口に指を当てて、どうしようか可愛らしく考えているご様子。
この様子から察するにどうせ今度一緒にお出掛けしてーとか、チューしてーとかそんなことだろうけど……まぁそんなことはいくらだってしてやる。

「あぁ。なんだ?」

ウキウキな様子の希の口から言葉が発せられる。

「み・せ・て! その中身!」

可愛らしい口調で口に当てていた指はピンクのスーツケースを指していて……

「えっ!?」

これはまずい…………
入ってるのは旅行で着替えるための女服ばっかり……
このパンドラの箱を開けられるのはかなりまずい……
あんな可愛い顔をして、なんで悪魔的なことを言うのだろうか……
そんな小悪魔な妹からさらに追い討ちがかけられる。

「別にいいですよね〜やましいことが何もなければ。そ・れ・に可愛い可愛い妹のお願いなんですよ?」

うーん。なんだその上目遣いはめちゃくちゃ可愛いじゃねぇかよ。可愛いフリしながらやろうとしていることは今の状況からしたら魔女以外の何者でもない……

「な、何もないぞ? 本当だ! だから、にいちゃんはもう行く!」

ここはささっと希から逃げた方がいい…これ以上話をしていたら余計に疑念を膨らませてしまうだけだ。

「あれぇ〜。にいさまは逃げるんですか?」

あぁ、今回ばかりは逃げる……
妹から逃げるのは兄としては頂けないが今回ばかりはそうさせてもらおうじゃないか
って、あれ!? 逃げれない……足は動くのに前に進んでいかない?
完全にランニングマシーンみたいになっている……
これはいったい……どういうことだ……


「お、おい……お前こんなにも力あったのかよ?」

俺の腕を希は潰さんばかりに強く力を込めて握っている。
え〜……聞いてないよ? そんな怪力キャラなんて……すごく痛いんですけど?

「はい! にいさま相手にならどんなこともできる気がしますよ……」

なんだこの湧き上がっている力は……
これが俗にいうあの伝説のブラコンパワーというわけなのか……
愛を力に変えるなんて、あのヒーローアンパンマンにしかできない所業だぞ?
それを一般人であるお前が会得したとでもいうのか?

そんなことはどうでもいいとしてもこれはかなりまずい……
こうして妹と競り合っている間に氷堂先輩との待ち合わせの約束時間が来てしまう……

約束は反故にするわけにはいかない。
ならば俺のやるべきことはただ一つ。
それは、このブラコン妹をこの場で排除をする、ということだ。
可愛い希には悪いが……俺の目的のためにお前には消えてもらおうじゃないか……

力技でも希には勝てると思うが……乱戦となるのは目に見えている。
ならばここは頭を使って。

「希……わかったよ……兄ちゃんのスーツケースの中を見せればいいんだろ?」

「はい! 分かればいいんです! もう。最初からそうしてくださいよね」

俺は希のあまりの執念に根負けし持っていたピンクのスーツケースを希に優しく手渡した。
希が俺のスーツケースを受け取り、地面に置いてカチャッと開けようとしたその時。

師匠! お願いします!
了解!

俺は希の心臓を手に雷を込めてズバッと貫いた。



なんて凄惨たるような残酷なことは何なく。
俺は希をそのまま床に突き倒して床をドン。
俗に言うユカドンという柔道の寝技を決め込み、顎をクイっと上げる関節技を希に決め込みその状態から俺は希の顔に自分の顔を徐々に近づけていき、希の唇を乱暴に奪っていく。

「に、にいさま……だ、ダメです……こ、こんなとこぉ………」

俺は希の舌と自分の舌を激しく絡ませて、熱いディープ接吻を交わした。
希も最初の方はダメとか言っておきながも、次第に目をトロンとさせて、顔をりんごみたく赤くして、全てを俺に委ねるかのように目を閉じていった。
きっと今のは希のファーストキスだったのだろうな……
まぁ、結局は俺の嫁になるんだから問題はないだろうな。

ふふ、ハハハ! こいつももうこれで終わりだな……

熱く俺とキスを交わした希は床にクニャリと倒れたまま、起き上がる様子が一切ない……
そう……こいつの活動はもう止まってしまった……

師匠! ありがとうございます!


俺が希にやったことは単純明快だだ……
師匠を使って、俺の口内に睡眠薬となる成分を創り出し、熱く舌を絡ませるキスをすることでそれを希の体内へと押し込む。
これで彼女は長い時間は眠りの世界へと落ちてしまうというわけたのだが……
まぁ、大抵のことは師匠がいたらなんでも解決してしまえる。

これを使えば本当に犯罪紛いなこともできるが……それはやらない。
それは俺の理念に反するからね。
今更って声が聞こえたけど、無視することにしよう。
俺は倒れた希を優しくお姫様抱っこして、希のベッドへと連れて行く。
俺はそっと希をベッドに移し、そっと乱れた髪を撫でてあげる。
ごめんね……希……俺の可愛い妹よ……
でも、お前がいくら止めたとしても、にいちゃんにはやらなきゃいけないことがあるんだ……
じゃあ、にいちゃんは行ってくるね……
愛してるよ……愛しい妹よ……さよなら……
これが戦闘物のシーンなら感動するのだが……
俺のやるべきことは他の女の元に向かうこと……

俺は妹とのハプニングを上手く交わし、路地裏で敦子に変身し、着替えた後、よもぎ駅へと向かっていくのであった。

残された妹はというと、昼頃にようやく目を覚まし、突然込み上がってきた熱い思いに体をクネクネさせるのであった。
10歳にして……
まぁ、あとは想像に任せる事にしよう。

俺は妹を撃退してから急いでよもぎ駅へと向かった。
それでも妹の対処ににかなりの時間をとられていたので、約束の時間から10分も遅れてしまった。

これがナツだったら……
いや、言うのはやめてこう……
殺されるような気がする……

考えただけで若干電流が流れたようなピリッとしたし……

俺は敦子としてよもぎ駅に到着し、氷堂先輩と無事に会うことができた。


こうして、俺と氷堂先輩の楽しい楽しい温泉旅行が始まりを告げるのであった。

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