人間嫌いな俺とビッチな少女

マイナスイオン

当たり前だけど後悔は前にはできない





「お姉ちゃん?起きて!お姉ちゃん!」


 自問自答を繰り返した私は気づけば寝ていたのかな?心配そうに私の顔を穂希が覗き込んでいた。


「穂希?なんでここに?」


「なんでここに?じゃないよ!呼んでも来ないし部屋に入ってみたら涙の跡がついてるし、なんかあったの?」


「べ、別に何も......」


「そんなお約束みたいなこといいから!何かあったんじゃないの?」


 昔からずっと勘の鋭い妹よね、ほんと。


穂希には隠し事はできそうにないわね......


……


「それで?その人がお姉ちゃんのことをバラすぞーって脅してるってこと?」


「脅されてるのかはわからないけど、あなたは私の手の中にいるよってことだと思う......」


「それでまんまと引っかかったことだよね?」


「引っかかったって、そんな!」


「引っかかってるんじゃん。私はなんで簡単にヤッたんだろうとか、昔を後悔してこれを好きな人に知られたらどうしようとか考えてたんじゃないの?」


「そんなわけ......」


穂希のいうことはまんま私の考えていたこと。図星だった。


「いい?お姉ちゃん。確かに妹の私でも引くレベルでのめり込んでたのは知ってたし、馬鹿だなぁとも思ってたよ。だけど全部それはお姉ちゃんがしたことでしょ?それを今更悔やんでどうするの?」


売り言葉に買い言葉、頭に血が上った私はすぐさま言い返す。


「穂希に何が分かるの?私は軽率な行動だったなとか、しなければよかったのかなとか色々考えて......」


「だから、それは意味ないの!そこ考えてもしちゃったことは変わらないよね?じゃあ過去に戻ってやり直す?そんなことできないし、あの時のお姉ちゃんが選んでしたことを悔やみ出したらそれこそ彼女の思う壺だよ!」


「それにお姉ちゃんは間違いなくビッチだけど、それでも今1人の男の人を振り向かせようと頑張ってるの私は知ってるから!」


「じゃあ、私はこれからどうしたらいいの?」


「それはお姉ちゃんが自分で決めることだよ。このまま過去を後悔するの?それとも少しでも前に進むの?ま、ジッとしててもその子に好きな人取られちゃうかもしれないけど」


「それにね、お姉ちゃんの中では後悔だらけかもしれないけどその一瞬一瞬お姉ちゃんはその人たちを好きになって、それで行為に及んだんじゃないの?とにかく!いつまでも過去を見てうじうじしないで!」


穂希のいう事は全て正論。言い返すこともできないしその通りだ。


私は鍋島のことが好きだ。


だけど拒否されるのが怖い。


今確実なのはここで悩んでても何も変わらないこと。


私は逃げてばかりじゃなくて向き合わないとダメなのかもしれない。


「ありがとう、穂希....私なりに向き合ってみる」


「ふふっ、やっぱりお姉ちゃんはそうじゃないとね。お姉ちゃんはお姉ちゃんらしく頑張ればいいんじゃない?」


「でも鍋島に引かれるかもしれないし......」


「ま、でもそれはお姉ちゃんのしてきたことなんだから仕方ないよ。だけど戻れない過去を振り返るよりこれからのこと考える方がきっと上手くいくよ!」


「たまたま出会った人からの受け売りだけどね♪」


「うん、凄くいい言葉だと思う。逃げずに頑張って
みる」


「そうそう!単純で切り替えの早いところがお姉ちゃんのいいところなんだからね!」


「でも、やっぱり馬鹿にされてる気がする。これでも一応お姉ちゃんなんだけどー!」


「はいはい、ちゃーんとお姉ちゃんだと思ってるからね!」


「もう泣きすぎて目腫れるしなんか汗で気持ち悪いし......よし!お風呂入ろうかな?穂希も一緒に入る?」


「もう何回も言ってるけど....ま、今日くらいは入ってもいいかな!」


「よし、じゃあ入るよー♪」


「もう、側からみたら中学生と入りたがるなんてただの変態おじさんだよ」


「はいはい、いいからいくよ!」


ありがとう穂希。まだまだ乗り切らないといけないこともあるけど逃げずに頑張ってみる。


 後悔はしない。全部自分のしたこと。だから私はそれと逃げずに向き合う。


私は......東雲さんには負けない!

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