人間嫌いな俺とビッチな少女

マイナスイオン

従順なメモ係、その名は鍋島睦月。



「ここってこんな感じでいいかな?」


「こんにゃく使いてぇー!」


「ダンボールもたくさんいるよな?」
……
私たちの学校は1週間前にならないと授業が
全部準備時間なんてことにはならない。


 だからこうして放課後は大忙しなの。


「具体的な案も決まってきて、そろそろ本格的な買い出しに行ってもらおうかなって思ってるんだけどいいかな?」


お化け屋敷プロジェクトリーダー(仮)である
海堂くんが私に声をかける。
 彼はやっぱり立候補しただけあって効率よく事を
進めていた。


「もちろん!具体的にはなにがいるの?」


「ダンボールは家電用品のお店にお願いしようと思ってるんだ。だから遮光用のカーテン、文具類に針金とビニール袋をお願いしてもいいかな?」


「ちょ、ちょっと待ってね!鍋島ー!メモの準備して~」


私はすぐさま鍋島を呼ぶ。だってメモとか取るのめんどくさいんだもん。


ブツブツ言いながらもこっちへ来る鍋島。


「お前、わざわざメモごときで俺を呼ぶなよ」


「どーせ話す相手もいなくて1人でいたんだからいいでしょー」


「2人は仲がいいんだね」


「「どこが?」」


「ほら、息ぴったりだ」


「「最悪」」


「ま、そっちの方が作業も進むし俺としてありがたいよ。とりあえず文房具は今日中にお願いしたい」


「任せて~!買って来るから!それと他のものは休日明けに持ってこれるようにするね♪」


「そうしてくれると助かるよ」


  連絡事項だけ伝えて去っていく海堂くん。
ほんと文武両道、優秀だよねー。
それに比べて鍋島は....


「ほら、欠伸してないで文具店にいくよ?」


「ったく、ほんと人使い荒いよなー」


 ま、そんな彼の方が私も気が楽だけどね!


……


「とりあえず今いるものはこれくらいかなー?」


「そうだな、なに作るか知らねえけどこれだけあれば十分だろ」


「ちゃーんとクラスの一員なんだから把握しときなさいよー」


「お前以外と話してないのにそれは無理だな。必要最低限でいいんだよ」


 そんな事をいう鍋島だが、最近はプリントを配るときとか大したことのない瞬間にクラス
メートと話してることを私は知っている。


「もしかしたらあっという間に友達ができたりするのかな~?」


「胡桃、お前なんか言ったか?」


「べっつにー!早く学校戻るよ」




「何でちょっと怒ってんだよ!
あっ、買ったもんは俺が持つから。」


 たまにこういうことに気がつく鍋島は少しだけできる男子に思えてしまう。


はぁ、乙女心は複雑なのよ。
全く惚れる兆しがないし、どちらかというと私の方が鍋島のいいところを見つけていってる気がする。


「んー、やっぱり文具店には針金ってないね....あーそうだ、鍋島!土曜日は空けておいてね!ホームセンターに一緒に買い物行くんだからね!」


「いや、休日は少し予定が....」


「鍋島に予定なんてものはないから大丈夫!
ちゃんと来てくれないとダメだよ?」


上目遣いでお願いしてみる。


「俺のせっかくの休日が....ま、俺にお前は拒否権なんてもの与えないだろうがな


この様子、上目遣いの効果全くなし。
てか私のことなんだと思ってるのよ!
ま、でもそんなことを言いながらも来てくれることは私は承知の上だ。


「はやく学校戻って準備しよっか!」


「はぁ、仕方ないな」


どんな服を着よう?どんな髪型にしよう?
あれ?なんだか土曜日を楽しみにしてるみたいじゃない?ただの買い出しなのにね。


まっ、鍋島に惚れてもらうために頑張るとするか~!!



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