人間嫌いな俺とビッチな少女

マイナスイオン

振り返りも時には大事



鍋島睦月とのデートは私が想像してた以上に
楽しかった。


  今日の朝に強引に約束を取り付けちゃって、
なかなか来ないからもしかしたら適当に返事
して、鍋島来ないつもりだったのかな?....っていう不安もあったけどちゃんと来てくれたことには素直に嬉しかった。


ま、少し遅かったくせにごめんの一言も
なかったのは許せないけど!


 人と関わろうともしないし変わった人だけど
なぜかそういう約束を守るというとこだけは
真面目というか....
嘘告白の時もぬけぬけと来たし....


けれど鍋島のことを意識したかと言われれば
ノー!ちゃーんと来てもらわないと惚れさせることができないもんね!
 

  惚れさせるって言っても鍋島は結構強敵っぽいなぁ、ちょーっと可愛い声で同じもの要求してもスルーだし、鍋島が使ったフォーク使って
みても反応薄かったり....


でも、店員さんさっと呼んだり、パッと奢ってくれようとする感じ、人と関わらない、
人と接しない鍋島が率先したのには驚いた。


 それに鍋島が気づいているかわからないけど、彼が時節みせる少し苦しそうな、何か悲しそうな表情が私には気になっていた。


私が嘘告白した時の、


“俺は人を好きにはならない”


って言ってたのと関係があるのかな?


そこさえ解明できたら案外簡単に鍋島は
私に惚れてくれるかも!


でもきっと今の私が聞いたところで、
なんでもないとか、気のせいだ、って言葉で
片付けられちゃう気がするし....うーん..
やっぱりまずは距離を縮めることが先ね!


ただ、明日から土日の2連休。連絡をとって
デートにでも誘いたいとこだけど、あろうことか私たちは連絡先の交換をしていない。


一方的で面白くないと思ってた鍋島とのデートが割と楽しかったこともあり(ほぼ自虐のツッコミではあるが)この私が聞くのを忘れてるという失態をしてしまった。
ま、今まで付き合って来た男子たちは自分から聞かなくても教えてくれてたんだけどね。


そう考えるとますます鍋島の態度は釣れない。この私がデートに誘っていてもあの態度。
すごいムカついてきた!


「ねえお姉ちゃん。さっきはニヤニヤしてたと思ったらいきなり考え出して、それが終わったと思ったら今度は怒り出して、一体何??
短期間で喜怒哀楽表現しようとしてるの?
他はいいけど泣くのはやめてね。後の処理が
めんどくさいから」


 いつのまにか部活を終え、穂希が帰ってきて
いたらしい。それにしても姉に対してこの辛辣な言葉の数々はなによ!


「おかえり、ちょっと最近感情が豊かで....
って違う~!なんでそんなこと言うのよ!」


「いらないノリツッコミありがと。で?なにを今度は考えてたの?」


「いや、だからそのね。私を振った男を
どうしたら惚れさせるかなぁって考えてたの」


「あー、そういえばなんか昨日言ってたね」


「そのことよ!それで今日一緒にカフェ行ったのはいいけどあまり進展がないのよ。
あっ、でも話しかけさえすれば結構喋ってくれることはわかったわ!」


「ふーん。それでこの土日はどう誘うの?」


「それが連絡先聞くの忘れてて....」


「えっ??あの百戦錬磨の胡桃萌が!?」


 人を勝手にどこかの武将のようにいうのはやめてほしい....可愛い女の子なんだからね!


「い、今までの男子は自分で連絡先教えてくれてたし?それにこの土日に作戦をまた立てれることを思ったらべつに....」


「はいはい、わかったわかった。そんなにムキにならないでよお姉ちゃん」


 穂希が焚きつけてるんだけどね、、


「ゴホン、とりあえず月曜日は要観察。余裕があれば火曜日にお弁当ってとこね」


「なんだか楽しそうだよお姉ちゃん」


「当たり前じゃない。自分に興味のない人に興味を持ってもらえるように頑張るって案外、楽しいことみたいだわ」


「そっかー、ま!頑張って!あんまりその人のこと考えすぎて自分が惚れないようにね~
その人はお姉ちゃんに好意ないんだから」


そんなこと言われなくてもわかってる!と言おうとした時にはもう穂希は自分の部屋に上がろうとしていた。


私が鍋島のことを考えてるのは私に惚れさせるため!絶対に私が好きになるわけないわ!



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