【連載版】僕の初恋相手は人妻です

マイナスイオン

連絡は基本





「お兄ちゃんが連絡もなしで朝帰りなんて初めてだよ!心配したんだからね!何してたの?」


「友達の家で盛り上がってたら連絡するの忘れてたんだ。雪、ごめん」


真凛さんと別れた後、自宅に帰った僕を迎えてくれたのは玄関で仁王立ちした大変ご立腹な雪だった。


「連絡しないってことは本当は何かあるんじゃないの?」


「いや、連絡したつもりだったんだけど......」


「でも、私の方に連絡が来てないってことはしてないってことだよね?」


「はい、その通りです......」


「お兄ちゃんが何してようが私がとやかく言うことじゃないかもしれないけど、ちゃんとこれからは連絡してね?その、心配するんだから!」


「わかった!心配かけてごめん」


「それと......お兄ちゃんなら大丈夫だと思うけど人に誇れないような疚しいことはしちゃダメだからね?」


「わかってるよ」


「それでよし!昼ごはん今から作るけどお兄ちゃん何か食べたいものある?」


「うーん、じゃあ......」


「よし!うどんが食べたいんだね!そうなんだね!」


「僕何も言ってないんだけど」


「だってうどんが食べたいって顔してたもん」


なら聞かないでってくれと言ったところではあるけど、作ってもらう手前そこは黙っておこう。


雪に連絡をしてなかったのは完全に僕が悪い。


ただ、連絡を忘れていたわけじゃなく、あの時真凛さん以外のことは考えたくないという気持ちが湧き出て、本能のまま僕は真凛さんと交わった。


今までそっちの経験がない僕はその行為がこんなにも幸福感のあるものだとは知らなかった。


もし次があるなら......しっかりその目で色々と焼き付けたい。初めての経験は無我夢中で覚えてないものになってしまったけど次ならきっと......


って僕は何を考えているのだろう。


次なんてあってはいけない。真凛さんには旦那さんがいるんだ。


でもまた2人で会ったら?


簡単に僕の理性を吹っ飛ばすには十分な魅力が真凛さんにはある。


そうなったら僕は......


「お兄ちゃん?うどん伸びちゃうよ?」


気づけばはよ食べろと言わんばかりに湯気を出すうどんが僕の目の前に現れていた。


「あ、うん。ありがとう、いただきます」


「ねえ、午後からお兄ちゃん暇?」


唐突に雪がそんなことを言い出す。


「うん、暇だよ?」


「じゃあこの前言ってた買い物に付き合ってほしいだけどダメかな?」


ジッとしていると変に考え事をしてしまって良くないのかもしれない。


「よし!じゃあうどん食べたら行こっか!」


「やった!私準備してくるね!」


そう言って嬉しそうに自分の部屋に戻って行く雪を見ると、いつまでも経っても妹は妹なんだなぁとつくづく思う。高校生になってしっかりしてきたけど、本当、あーいうところは昔から変わらないよ。


「心配かけちゃった分、ちょっとわがまま聞くぐらいいいかもしれないな」


ポツリと独り言を漏らし、いつもより多めに財布にお金を入れる。


雪が部屋で着替えること10分。


「お兄ちゃん!準備できたし、早く行こうよー!」


「はいはい、一緒に夕飯の買い物もするからね。よし、行こう」


「お兄ちゃんと出かけるの久しぶりだから楽しみ~」


「まあ、そう言ってもらえるだけ嬉しいのかな?」


「お兄ちゃん、女の子と出かける機会あんまりないんだからちゃんとエスコートの練習も兼ねるんだよー?」


「妹相手にエスコートしても意味ないよ」


「わかってないなぁ。妹だからこそ練習ができるんでしょ?そんなんじゃすぐ振られちゃうぞー?」


こうして午後からは雪との買い物で時間は過ぎていった。


途中携帯がバイブした気がするけど、妹曰く、デート中に携帯見るのはNGらしい。


きっと急ぎでもないだろうしと気にも留めてなかった。


……


『真田くん、最近私太ってきちゃって......真田君さえ良ければダイエット手伝って欲しいんだけどダメかな?』







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