【連載版】僕の初恋相手は人妻です
可愛加奈とキャラクターパンツ
じゃんけんに負け、ランジェリーショップへ初めて足を踏み入れたあの日から3日が経った。
「なぁ、もうすぐ俺たち最後の部活があるわけじゃん?」
「まあ、お前と伊吹は最後の大きな大会控えてるわけだからな」
「そう!なのに、なのにだ!なんでテスト期間中は部活が出来ねえんだよー!」
「響、その意見に俺も同意だ。俺たちにはもうひと時も無駄にする時間はないんだ!」
「よし、よく言った伊吹。俺たちでこの学校を変えよう、テスト期間なんてものは」
「「いらない!」」
「ねえ、流星。この茶番にいつまで付き合えばいいのかな?」
「まあ、そろそろ加奈が止めてくれるだろ」
「2人とも、喋ってないでいい加減勉強しよ?せっかくの自習なんだしね」
「ねっ!真田くん!」
「う、うん。2人とも勉強しよ?」
この前、僕が買ったブラジャー類を流星が送った相手でもある可愛加奈さん。
可愛さんは苗字に可愛という文字があるだけあってとても可愛い。短めの髪を敢えておろさず小さく結んでいるのが本人の拘りらしく、こちらは同級生の人気はもちろん下級生からの人気も凄く、学食に現れればどこかのライブ会場のように一斉に注目が集まるレベルだ。
そろそろお気づきだとは思うけど、僕以外の
4人、流星、響、伊吹、可愛さん、本当ありえないほどにハイスペックなのだ。僕だけがザ、平凡という感じで、きっと初対面の人はなんであいつが仲良いんだろうと疑問だと思う。
「ねえ、真田くんってやっぱりあーいう大人っぽいランジェリーが好きなのかな?」
可愛さんの一言でようやく2人が落ち着いたと思えば、その可愛さんからとんでもない爆弾が落とされる。
「え、いや、その、そんなことないけど」
「いや、正直に言え昴。加奈、昴はあんまりそういうのに興味がないように見えてあーいうのが好みらしいぜ」
「ちょ、流星?」
「確か、こんなの加奈が履いてたらいいなぁとか言ってたぞ!」
「いや、それ言ったのは響じゃんか!」
「そっか、そうだよね。いつまでもキャラクターパンツじゃダメだよね......」
あれ?可愛さん今凄いことさらっと言いませんでしたか?
「よし、わかった!真田くん、良かったら私の下着選ぶの手伝ってくれない?」
「え、いや、でも......」
「女の子の誘いは断るもんじゃないぞ昴」
「今日の放課後でも行ってこい」
「もしかして、真田くん嫌......かな?」
「ぼ、僕なんかで良ければ手伝うよ」
可愛さんの下着選びを手伝う。
すなわちそれは、もう行く機会も、会う機会もないであろうと思ったその場所にまた僕は足を踏み入れることが決定した瞬間でもあった。
「じゃあ、今日の放課後一緒に行こうね♪」
本当に嬉しそうな笑顔を浮かべる可愛さん。
「うん、わかった。」
ふと周りを見ると何故だか男子からの凄まじい殺気を感じた。
可愛さんは可愛いし、みんなのアイドル的存在でもある。
きっと誰もが羨むその笑顔を見て、違う女性を思い浮かべてしまうのは僕くらいかもしれない。
そのアイドル的存在である可愛さんと出掛ける喜びよりも、またあの販売員さんに会える喜ぶが勝ってしまう僕だった。
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