炎罪のウロボロス
38、さあ、人生をやり直そう
「失礼。だが心配ないよ。この地上においても、例え君が亡くなってあの世へ行ったあとも、僕がペナルティを科すことなどは決してない。加えて言えば、僕以外の誰かがそれを代行することも無い。生前においても死後においても、君に危害を加えることなど一切ないから、安心していいよ」
そして彼はまた“悪魔の微笑”をその相貌にたたえた。
「君は……今まで多くの人々に、傷つけられてきた。だがもう安心したまえ。君が他人から受けたたくさんの心身の傷。だがしかしだ。私と契約をひとたび結びさえすれば、もう二度と、僕を含めた他の何者かが、君の心を、体を、傷つけるようなことは決してない。それは私が保障するよ」
そして男が真顔になった。
「さあ、人生をやり直そう」
心が揺れる。だがそれを私は必死に止めた。
「どうだい? それとも、僕との契約は破棄するかい? 既にオーダーは受けとっているし、我々のルールではすでに契約は事実上成立しているのだが。だけど、君が契約を破棄したいというのなら、僕は勿論、君の意思を尊重するよ」
だがそれは、既に確認済みの状況が私を待つのみだ。即ち、殺人犯として追われる身となることを意味する。
しかしだ。私はもう一つだけ、どうしてもこの男に問うておきたい大事な質問が残っていた。
「あと、1つだけ、聞きたい」
既に覚悟はできていた。だが私は聞きたかった。
「なんで、あんたは俺と、こんな契約をするんだ?」
この男の言うことが全て本当だというのなら、この男には何のメリットも無い。
ではなぜ? この男は私とこんな契約を結びたがるのだ?
「私の立場から言えば、それが私の役目だから、というだけのことだ。つまりね、これが私の仕事なんだよ。神から与えられた、ね」
そして男は、こちらに向かって一歩、左足を前へと出した。
そして彼はまた“悪魔の微笑”をその相貌にたたえた。
「君は……今まで多くの人々に、傷つけられてきた。だがもう安心したまえ。君が他人から受けたたくさんの心身の傷。だがしかしだ。私と契約をひとたび結びさえすれば、もう二度と、僕を含めた他の何者かが、君の心を、体を、傷つけるようなことは決してない。それは私が保障するよ」
そして男が真顔になった。
「さあ、人生をやり直そう」
心が揺れる。だがそれを私は必死に止めた。
「どうだい? それとも、僕との契約は破棄するかい? 既にオーダーは受けとっているし、我々のルールではすでに契約は事実上成立しているのだが。だけど、君が契約を破棄したいというのなら、僕は勿論、君の意思を尊重するよ」
だがそれは、既に確認済みの状況が私を待つのみだ。即ち、殺人犯として追われる身となることを意味する。
しかしだ。私はもう一つだけ、どうしてもこの男に問うておきたい大事な質問が残っていた。
「あと、1つだけ、聞きたい」
既に覚悟はできていた。だが私は聞きたかった。
「なんで、あんたは俺と、こんな契約をするんだ?」
この男の言うことが全て本当だというのなら、この男には何のメリットも無い。
ではなぜ? この男は私とこんな契約を結びたがるのだ?
「私の立場から言えば、それが私の役目だから、というだけのことだ。つまりね、これが私の仕事なんだよ。神から与えられた、ね」
そして男は、こちらに向かって一歩、左足を前へと出した。
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