霧夢 〜運命って信じますか〜

y u

旅館ー従兄弟3

ピピピッ
目覚まし時計が鳴る。

時間は朝の5:30
今日から美貴さんのお手伝いなのでいつもより少し早起きです。

顔を洗って動き易い服装に着替える。朝食は朝仕事の後なので、チョコレートを軽く口に入れ美貴さんの仕事部屋へ向かう。

「おはようございます」
「おはよう、5:50ちょうどいい時間ね。…着替えるからこっちの部屋へいらっしゃい。」奥の部屋に入って行く。
言われるまま中に入ると少し明るめな着物が何着か飾られていた。
中居さん系ではないなぁ。
不思議そうに見ていると、
「葵ちゃんは何色が好き?」と聞かれて
「空を見るのが好きなので青系が好きかなぁ」

美貴さんは青系の着物を何着か持ってきて葵の前で合わせた。
これはもしかしなくても、着物に着替えるということだなぁ。動きにくそう。
「今日は薄めの水色にしましょう。」
手際良く私は着物を着せられ、状況を把握しないままフロアに連れて行かれた。

フロアに2人が到着すると、すぐに朝礼が始まった。
さすがに週末一日のスケジュールはびっしり。
「今日から週末限定ですがお手伝いに入る姪の葵です。初めてのことばかりで迷惑をかけると思うけど、よろしく。」
私も慌てて姿勢を正しお辞儀をした。

朝礼の後は、
「廊下を歩くときは、歩幅は狭く速く、頭は動かないように‥。」とか、
若女将レッスンを2時間ほど叩き込まれた。
その後、美貴さんは葵をフロントにまかせて、若女将の仕事に。

葵もフロント担当の人に教わった通りに接客を頑張った。

11時頃、美貴さんがフロントに戻って来た。さっき、こっそり見てしまったスケジュール帳には12:00お見合い一件と書かれていて。
玄関の外では守おじさんも待機している。

「葵ちゃん、次のお客様の接客をお願いするから、こっちへいらっしゃい。」
美貴さんと一緒に玄関ホールで待機する。

しばらくすると、ロータリーに一台の車が到着した。
車から小太りな紳士と少し派手目な着物を着た婦人。小太りな男性と制服を着た男の子が…あれ、同じ中学の制服。
制服の男の子はこっちを見て軽く会釈をしてくれた。
クラスの人かな昨日あんまりまわりを見なかったからわからないや。

「竜宮様、お待ちしておりました。」
美貴さんが私を見ながらお客様をエスコートする。私も慌ててエレベーターの扉を押さえたりサポートする。

美貴さんはお相手の家族を迎えるためにフロアに残り、葵は竜宮家ご一同様と最上階フロアに。

最上階に到着して、フロアのソファに案内する。
「会食のお時間までこちらでお待ち下さい。」
一旦姿勢を正して席に着席するのを待つ。
タイミングをはかってメニューを出し、
「お飲み物は何になさいますか?」と聞く。
「私と妻はホットコーヒーで息子はブドウジュースとアイス紅茶で」
…ジュースは制服の子かなぁ。
フロアの奥に行き注文を伝えていると、裕人さんが来て、
「俺にアイス紅茶追加で」とフロアのほうに向かった。
振り向くと裕人さんはすでに制服の子に声をかけて一緒に席に着席していた。

出来上がった飲み物をこぼさないように気をつけて持っていく。
まずはご両親にコーヒーを、次に紅茶のコップを持とうとしたら、
「僕がブドウだよ」小太りな男性が立ち上がろうとする。
「失礼致しました。」
お兄さんの方にジュースを置く。
隣のソファーに移動していた制服の子と裕人さんに紅茶を渡す。
「お待たせ致しました」と紅茶を並べていると。
「葵ちゃん、昨日敦司とあったんだってね」と言われて
…さすがに記憶がないとは言えないが、答えることもせず眼をパチクリさせていると、
「俺も今度屋上上がってみようかな。」と。あっ屋上の人だったんだ。眩しくて顔がよくわからなかったけど。

あ〜っ寝てたこと謝らないと。
「昨日は本当にすみませんでした。」
慌てて謝ったら声が大きかったのか、まわりの視線をあつまめてしまい、
「す、すみません。」
敦司さんはニッコリ笑うと、
「違う制服を来たお姫様に逢えて、僕も嬉しかったんだ、僕もゆっくり休んでいたし気にしないで。」
爽やか笑顔に癒される。

裕人さんが思い出したように、
「敦司、紹介するね。彼女は俺の従兄弟で白川葵ちゃん。でこいつは竜宮敦司、葵ちゃんと同じ一年で特進コース」
「よろしくお願いします」
「こちらこそ宜しく。」

「そういえば、昨日の帰り遅かったのって、屋上に居たから?」
「昨日は教室で嫌なことがあって、屋上に逃げてました。」
「教室がイヤって、貴志かな?…あいつなりに考えての行動だと思うけど、許してやって。」
「あれが考えての行動だとしたら、別の意味で嫌かも。」

少し打ち解けて話をしているとお見合い相手のご家族が到着した。

美貴さんが来て
「葵ちゃん、今日は竜宮様がお帰りの時間まで自主学習で。」
「はい、お部屋の配置を覚えるのと、お客様へ笑顔の対応ですね。」
「さすが私の姪、理解が速いわね。お昼を先にどうぞ」
美貴さんは本当に嬉しそうだった。
娘のように接してくれるのも本当にありがたい。
ただ、葵はこのまま若女将を継ぐのかと心配だった。

継ぐということは、この家に養女か、イトコーズと結婚とか?

いやいや、とりあえずお昼を食べてこよう。

「霧夢 〜運命って信じますか〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く