霧夢 〜運命って信じますか〜

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旅館ー従兄弟1

両親の事故処理や葬儀など、しばらくは葵の家に守おじさんは滞在してくれて何から何までこなしてくれた。

四十九日を来週に控えたある日、

「葵ちゃん、うちで暮らすのはイヤかな?」と言われた。

守おじさんの家は隣町にある老舗の温泉旅館で、年の近い息子さんが確か2人。
若旦那の仕事はあまり多くないが、このひと月近く奥さんに任せっぱなしなので、相談したとのこと。
もともと娘が欲しくて女の子グッズ等も好きな奥様が是非と言ってくれたからという事らしいが、

「美貴も女の子がいれば、ガールズトークができるかしらとか言って乗り気なんだよなぁ」
には少しビックリした。

そういえば、昔叔母さんと呼んだらすっごい鬼の形相で怒られた記憶があるかも。
"ぞくっ"
思い出したら少し寒気がした。
確か、若い頃ミス何某にも選ばれたくらい美人で、名物美人女将とも。

学校が変わることを除けばとてもいい話だと思う。これを断れば私は施設に入ることになり、結局学校が変わり、友達とは別れることになるだろう。

一晩考えて、お世話になることにした。
法律がからむ遺産問題や家の事は守おじさんと弁護士さんの方でやってくれるらしいから任せる事にした。

守おじさんは、他に身内もいない私の未成年後見人として、二十歳まで私の保護者を引き受けてくれた。
正直、ありがとうという気持ちでいっぱいだった。

学校の手続きも四十九日も終わり、荷物をまとめた。
友達にも別れを済まし、今まで過ごした家にお別れして、私は隣町の守おじさんの家へお引越しした。

昼過ぎには旅館の別館の後ろにある自宅兼事務所に到着した。先に連絡してあったのか、おばさんが玄関で待機してくれていた。

「ただいま、美貴」
「おかえりなさい、ご苦労様でした。守さん。」
手荷物を受け取りながら、
「2人ともお疲れ様。お昼ごはんを用意してあるから、ゆっくり食べてから荷物整理しましょう。」と。

葵も姿勢を正しお辞儀をして、
「お世話になります、おば…美貴さん。」

一瞬睨まれたかなと思ったけど、美貴さんはホホホホッと笑いながら食堂へ案内してくれた。

「美味しい!」
さすが、老舗旅館の賄い。
守さんのご飯が不味かったわけでわないが、旅館のプロが作っているから。
両親が他界してから久しぶりにバランスも良いご飯を食べ、幸せだった。

葵はこれからここでお世話になるのに何もしないとかは無いなぁと。
でも、中学生の葵に手伝えることがあるなら何かしたい。

「私でも手伝えることってありますか?邪魔になるかもしれませんが。」

思い切って聞いてみた。

美貴さんは小悪魔のように微笑みながら、
「そうね、葵ちゃんなら守さんに似て顔も可愛いいから私のサポートでもいいわね。平日は学校だから白川のおばあちゃんのお世話とかお願いできると助かるわー。」

サポート⁈

「葵…」守おじさんが哀れみに近い表情で私を見ていた。

「転校初日からで申し訳ないけど、明日金曜日の授業後におばあちゃんの洗濯物を受け取って来てもらって、明後日土曜日は
朝5時半に私の仕事部屋に来て。」

「よっ、よろしくお願いします。」

明日から忙しくなるみたいだから、部屋の片付け頑張ろー。

不安半分、楽しみ半分、明日からどうなるんだろう。

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