TSお姉様が赤面プルプルするのって最高だよね

きつね雨

TSお姉様、石になる

 










「ジル、依頼は伝えたぞ。あとでギルドに顔をだせ」

「ギルドですかぁ? 此処で依頼受理しますから、適当に……あ、すいません、行きます」

 ウラスロの額に血管が浮き出るのが見えたので、仕方無く訂正する。いーじゃん、別に。

「はぁ……そもそも何で、家に引き籠ってるんだ? 買い物までターニャに任せて……それでも保護者のつもりか?」

 うっ……そんなの言えるわけが……

「パルメさんのお店で新作発表会がありま……モガッ」

 な、何て危険な事を暴露しようとするんだ!? 再び魔力強化を行なった俺は、素早くターニャちゃんの口を塞ぐ。

「ターニャちゃん? 変な事を言っちゃダメでしょ?」

 またもやコクコクと頷いたターニャちゃんに、俺は溜息が止められない。この子、油断出来ないぞ!?

「パルメさんのお店で新作発表会ですか?」

 ほらーー……リタさんが食い付いたよ……

「……はい。お姉様が着ているこれもそうですね。私も何着か買って貰いました」

 いや実際はタダだよね!? 俺の黒歴史が増えた瞬間だったから!!

「へえ……ジルさんにピッタリですねー。でもジルさんみたいに脚が長くないと着こなしは難しいかな? て言うか、反則だよねジルさんて」

 そう? まあ、ジルですから!

「リタさん、今度一緒に行きませんか? パルメさんとお話したい事もありますし、あとマリシュカさんは知ってますか?」

 ん? ターニャちゃん?

「マリシュカ……確か雑貨屋さんだよね? 凄く元気な人で、あの辺りの女ボス的な……私は余り利用してないけど、興味はあるかなー?」

「凄く優しい人ですよ? こないだの買い物でもオマケしてくれましたし、このお茶も下さったんです」

「そうなんだ! オマケって?」

「よく分からないんですが……縄?みたいな物でした」

「ターニャちゃん、そんなのあった?」

 俺は見てないなぁ……縄がオマケって、それ嬉しい? 持って来ますね、と部屋から姿を消したターニャちゃんは直ぐに戻ってきた。両手で抱えた紙袋の中にあるらしい。

「これです」

 ガサガサと袋を開けたターニャちゃん。ふーん……確かに縄と言うかロープみたいな……ん? なんか見覚えあるぞ……いやいやそんなまさか。きっと似た様なものだろう。

「なんでもお茶と同じバンバルボアで手に入れた物らしいです。マリシュカさんもよく分かってないみたいで……お姉様?どうしました? 顔色が良くないですよ」

「そそそ、そんな事ないよ? な、なんだろうねー? 良く分からないし、お姉さんが返しておくね?」

 手を伸ばした俺は、ロープを掴もうとした。したけど……ターニャちゃんは冷たい笑みを浮かべて手を引いた。あ、あの……ターニャちゃん?

「その反応、やっぱり知ってますね? 実は使い方が分からないだけで、効果は教えて貰いましたから」

 マジで!?

「い、何時の間に!? あ……な、何言ってるのかなぁーー? そんな事知らないよ?」

「お前……それでも隠してるつもりなのか? それで良く超級まで上がれたな……王族や貴族と付き合う事もあるだろうに……硬軟織り交ぜた会話や面従腹背する相手とどうやって渡り合うんだ……」

 このドワーフ……余計な事言うんじゃないよ!?

「さ、さあ……ターニャちゃん、皆さん、ギルドに行きませんか? ほら、殿下もお待ちでしょうし」

「……ジルさん、私も知りたいなぁ?」

「リタさん、後で教えますから……今は……」

「知ってるじゃないか……お前、どこまで残念なんだ……」

 あっ……

「お姉様?」

「……もう! 分かりました!! 言えばいーんでしょ!言えば!」

 もういいよ! 俺には対抗策もあるし、内緒で処分してやる!

「で?何なんだこれは? お前の反応からみて、只の縄じゃ無いんだろ?」

 茶色と水色の、特殊な材質で編まれたロープ。一部には魔力銀を織り込んでいる。製法を秘匿……と言う程では無いが、珍しいのは間違いない。ツェツエでは見た事ないし、下手したら初輸入品かもしれない。マリシュカさんの知り合いって誰だよ、もう……

「……名前は……内緒で……用途は、一時的な魔力行使の無効化です。魔力を上手く収束出来なくするので、魔法士がこれで縛られると逃げられないですね」

「……本当か? 予想よりずっと物騒だが……」

 まあ、そりゃそうだ。ある人物にお仕置きする為に開発されたが、その危険性から管理強化されたからね。まあ、実際には子供騙しで、対策も講じ易い。文字通り子供向けだからね、特定の。名前は[ジルヴァーナに罰を]だし。因みに自動翻訳されてるので、本当の名前は別。まあ、悪戯好きなお転婆娘をお仕置きする為に、母親が作成したらしいよ、うん。

「ギルド長、大丈夫です。ある程度研鑽を積んだ魔法士には効きませんよ。使用者が余程強力な魔力か魔素を操作が出来る人で、相手が子供位しか効果ないですよ。それに、魔素操作が余程得意じゃないと、そんな人は中々いませか……ら……」

 思わず隣を見ると、ターニャちゃんがキラキラした目をしてる!

「魔素の操作が巧ければ、効果は上がるんですね?」

 魔素行使に特化した少女がニヤついてるし……これ、あかんヤツじゃ……

「う、うん」

「お姉様? 物騒な世の中ですし、使い方を教えて欲しいです。何時も我儘にって言ってくれてますし、私の我儘聞いてくれますか?」

 うっ……断りにくい……!

「……あとでね」

 やった!と嬉しそうにするターニャちゃんは可愛い。可愛いけど、嫌な予感がするんですが!

 イソイソと[ジルヴァーナに罰を]と呼ばれるロープを袋に戻す、嬉しそうなターニャちゃん。うう、今更取り返しづらい……

「リタさん、それじゃあまた今度遊びましょうね?」

「うん! マリシュカさんにも会ってみたくなったよ。楽しみだね!」

 マリシュカさん、パルメさん、リタさん、そしてターニャちゃんが仲良し……オカシイな……何故か寒気が……








「良く分からんが、俺達はそろそろ帰るよ。ジルもギルドに顔を出してくれよ。お前が留守の間、ターニャをどうするか決めないとな」

 何を言ってやがるんだ、このドワーフは? 短い足に力を入れて、ポヨンとした腹ごと持ち上げ立ち上がったドワーフ爺い。髭といい、絶対リスペクトしてるだろ、爺さん。

「ターニャちゃんは連れて行きますよ?」

 ソファから腰を上げたウラスロは、驚いた顔で再び座る。

「お前何言ってる!? 転移してきて数日の、しかも子供だぞ? 旅がどれだけ危険か、お前なら分かるだろうが!」

「あら? ギルド長こそ、私を誰だと思ってるんですか? 護衛依頼なら幾らでも経験しましたし、一人で受けた事も何回かあります。それに王都までなら整備された道がありますから、魔物や山賊だって少ないでしょう?」

「で、本心は?」

「ターニャちゃんと離れるなんて嫌です! 無理ならこの依頼はお断り! 今決めました……あと王都には温泉があります!」

 最近疎かになっていたTSイベントだって、王都なら何か起きそうだし!

「この姉馬鹿が! 何が温泉があります!だ。遊びじゃないんだぞ!」

「ジルさん、まだお風呂入りたいんだ……」

 俺は気付いたのだ! 温泉なら俺だけじゃなく、大勢の女性たちが居る。流石のターニャちゃんも恥ずかしいだろうし、俺が隣りに居ないと困るから逃げられないはず! うん、完璧だ!

 思わず立ち上がり拳を握る俺に、三人とも呆れ顔。だが、俺は気にしないぞ!

「ウラスロさん、私も王都に行ってみたいです。 お姉様とツェツエに暮らす以上、勉強したいですから……色々と(お姉様の弱点とか)」

「いや、しかしだな……何かあったら……」

 このドワーフ、やっぱりお人好しだなぁ。

「なら、もう一人護衛を雇います。幸い心当たりがありますし、絶対に断られない確証がありますから。実力も間違いありません」

 ん? そんな知り合いいるの? 暫くニートしてる間に交友関係が広がったのかな? いやいや、へんな奴なら許さないぞ!

「ターニャちゃん、お姉さんに紹介してって言ったでしょ? 私が厳密に調査しないと……」

「お前……どれだけ姉馬鹿なんだ……度が過ぎて嫌われても知らないからな」

 はあ!? このドワーフ爺いめ、この至高のTS女の子が見えないのか? 思わずターニャちゃんの両肩を持ち、前に押し出す。説明してやんよ!

「だって……だって見て下さいよ、ほら! このつぶらな瞳、サラサラで触り心地抜群の髪、抱き締めたくなる小さな体、それでいてプニプニの肌! あと、良い匂いも! 変態に襲われたらどうするんですか!?」

「「変態はお前ジルさんだよ!」」

 ターニャちゃんも溜息……いや、俺は変態では……一応、想像してみる。

 22歳のオタク趣味でニートな女装野郎が、鼻息荒く女の子の匂いを嗅ぐ姿を。グヘヘと涎を垂らす姿を幻視した俺は吐き気がした。

「うっ……確かにキモい……私って変態だったんだ……。あぁ、こんな気色悪い野郎に言い寄られてゴメンねターニャちゃん……いや、ターニャさん……」

「ジルさん、どんな想像したんですか……? 気色悪くないし、野郎でもないでしょう? 自分の容姿くらい自覚して下さい。て言うか、言い寄ってるんですか? それの方が駄目でしょうに」

 ハッ! そうだ! 今の俺は超絶美人のジル、その人だった! 最後の方は聞こえませんから!

「お姉様は変態じゃないですよ? ちょっとだけ残念……いえ、可愛いだけですから……凄く」

「ターニャちゃん、誤魔化せてないからね? 最後の凄くはどの言葉に掛かってるのかな?」

 思わずムニムニのほっぺをグニューっと優しく掴んで伸ばす。おお……柔らかい!

「はあ……もういい、好きにしろ。ジル、子供を連れて行くなら準備をしっかりしろよ?」

「勿論です。まあ、本当に大変な時はターニャちゃんを抱っこして逃げますから」

 実際は全力で脱出など出来ないけどね……危ないもん。まあ、その前に相手を戦闘不能にしますよ!

「じゃあ、今度こそ帰るよ。ターニャ、護衛の件はあとで聞かせてくれ。正式な依頼ならギルドを通す必要があるからな」

「はい。ウラスロさん、色々とありがとうございます」

「じゃあね、ジルさん、ターニャちゃん」

「リタさん!」

「ん? ジルさん、何ですか?」

 緊張するけど、言うぞ……言うんだ……!

「あ、あの……な、なま……ジ、ジル……リタ、さ、ん……えっと、あのですね……」

「? ジルさん?」

「リタさん、名前……呼び方を変えて欲しいみたいです。折角お友達になりましたし、ジルさんじゃなくてジルと呼んであげて下さい。ですよね?」

 合ってるけども! 何で分かるのかな!?

「う、うん」

 リタさんは今日最高の笑顔を浮かべ、返事をしてくれた。

「勿論よ! ジル、私の事もリタって呼んでね!」

 わあ! 抱き着かれた! 柔らかい!

「え、ええ。 ……リタ、後で」

 呼んだぞ! 同年代の女性を呼び捨てだ!

「ふふふ……ジル、後でね!」

 ウラスロも皮肉じゃない笑みが浮かんでるし、これで良かったのかな?

 ターニャちゃんは玄関までお見送りだそうで、三人で部屋から出ていった。俺? 今は動けないかな……リタさんの感触が……感触がーーー!!

 絶対に真っ赤になってるぞ、コレ!

 また、赤面プルプルしちゃったし! 


























「アイツ、どれだけ初心なんだ……普通あんなになるか? 完全に石になってたぞ」

「まあ、あれがお姉様ですから」

「普段は思いっ切り仮面被ってたんですねぇ。女の子達の中でも、ちょっと近寄り難い孤高のお姉様って感じで人気なんですけどねー」

「そんなにですか?」

「そりゃそうよ! 魔剣のジルと言えば、古竜すら恐れない最強の冒険者だからね。笑顔は絶やさないけど、何処か壁があったと言うか……私だって何時も緊張してたんだから!」

「それは多分……」

「そうね。 はっきり言うと……」

「「ヘタレ」」

「どう話しかけたらいいか分からずに、笑顔で誤魔化してただけだろうねぇ……」

「そこがまた……」

「「可愛い」」

「お前ら、余り苛めてやるなよ?」

「まさか! 苛めたりしませんよ! ね?ターニャちゃん!」

「勿論です」

お姉様おもちゃですから」
お友達おもちゃですから」















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