殿下、あなたが捨てた女が本物の聖女です
人生は単純ではないというけれど 1
人生薔薇色、とはきっと今のわたしの状況を言うに違いない。
メイナード王子に婚約破棄されて転がり落ちていくように思えたわたしの人生は聖女選定ののち、昨夜のファーマンの愛の(くどいようだがくり返す。「愛の 」)告白で一発逆転をむかえました。
ざまあ~、メイナード!
ざまあ~、リーナ!
わたしは今、幸せです!
朝起きて、隣で眠っているファーマンの姿を見たときに(キスしかしていないけどね!)、私は狂喜乱舞しそうになった。実際ベッドから降りで小躍りしかけたけど、ファーマンが身じろいだので慌ててしおらしい淑女のように恥じらって見せましたけどね! 心の中ではガッツポーズ! 素敵な胸筋をお持ちの長身騎士様ゲットです!
もう、わたし、なんであの元婚約者のアホ王子に恋心を抱いていたのでしょうか。
きっと「王子」という釣り書きと「王子の婚約者」という枕詞の美しさに現実が見られていなかったに違いない。
だって、聖女がほしいって言ってわたしをフッた王子よ? わたしが聖女に選ばれたって聞いて手のひらを返してきたアホ王子よ?
どこに恋する要素があるって言うの?
今のわたしは「よかった、あんなアホ王子の嫁にならなくて」状態。
わたしは素敵騎士のファーマンのお嫁さんになって一生薔薇色人生を送るのです!
目が覚めたファーマンは、赤い顔をしてちょっぴり慌てたように、使用人たちに見つかる前に部屋を出て行った。
出ていく前に「昨日は強引なことをしてすみませんでした。その……、大切にします」なんて言うから、もう! もうもう!
わたし、大切にしてもらえるそうです!
そのあとしばらくしてやってきた侍女のセルマは、わたしが自力で起きていることに少し驚きつつも、昨日号泣したわたしに「ご気分は大丈夫ですか?」と気遣いながら身支度を整えてくれる。
ご気分?
絶好調です!
だが、わたしがご機嫌な理由がわからないセルマは、「お嬢様はショックのあまり頭がおかしくなったんじゃ……」と疑いのまなざしを向けてくる。
でも、ほら。ファーマンのことは昨日の夜はじまったばかりで、お父様たちにももちろん知らせていないし、婚約だってしていないから、セルマに教えるわけにはいかない。だってセルマの耳に入るとお父様たちに筒抜けなんだもん。
わたしは楽なドレスに着替えて、蜂蜜色の少し癖のある髪を丁寧にまとめてもらって、セルマに「廊下でスキップしてはいけません!」と怒られながら一階へ向かう。
今日の朝ご飯はな~にかな~。
ファーマンも一緒に食べてくれるかな~。
ふわっふわのオムレツがあったら嬉しいな~。
るんるんと鼻歌を歌いながらメインダイニングの扉を開いたわたしは、笑顔のままピシィ、と固まった。
メインダイニングの縦に長いテーブルの上座で、宮廷楽師の奏でるヴァイオリンの幻聴さえ聞こえてきそうなほど優雅に、我が物顔で茶をしばいていたのは。
「……、何でいるんですか、殿下……」
昨日追い払った、わたしの元婚約者様でした。
メイナード王子に婚約破棄されて転がり落ちていくように思えたわたしの人生は聖女選定ののち、昨夜のファーマンの愛の(くどいようだがくり返す。「愛の 」)告白で一発逆転をむかえました。
ざまあ~、メイナード!
ざまあ~、リーナ!
わたしは今、幸せです!
朝起きて、隣で眠っているファーマンの姿を見たときに(キスしかしていないけどね!)、私は狂喜乱舞しそうになった。実際ベッドから降りで小躍りしかけたけど、ファーマンが身じろいだので慌ててしおらしい淑女のように恥じらって見せましたけどね! 心の中ではガッツポーズ! 素敵な胸筋をお持ちの長身騎士様ゲットです!
もう、わたし、なんであの元婚約者のアホ王子に恋心を抱いていたのでしょうか。
きっと「王子」という釣り書きと「王子の婚約者」という枕詞の美しさに現実が見られていなかったに違いない。
だって、聖女がほしいって言ってわたしをフッた王子よ? わたしが聖女に選ばれたって聞いて手のひらを返してきたアホ王子よ?
どこに恋する要素があるって言うの?
今のわたしは「よかった、あんなアホ王子の嫁にならなくて」状態。
わたしは素敵騎士のファーマンのお嫁さんになって一生薔薇色人生を送るのです!
目が覚めたファーマンは、赤い顔をしてちょっぴり慌てたように、使用人たちに見つかる前に部屋を出て行った。
出ていく前に「昨日は強引なことをしてすみませんでした。その……、大切にします」なんて言うから、もう! もうもう!
わたし、大切にしてもらえるそうです!
そのあとしばらくしてやってきた侍女のセルマは、わたしが自力で起きていることに少し驚きつつも、昨日号泣したわたしに「ご気分は大丈夫ですか?」と気遣いながら身支度を整えてくれる。
ご気分?
絶好調です!
だが、わたしがご機嫌な理由がわからないセルマは、「お嬢様はショックのあまり頭がおかしくなったんじゃ……」と疑いのまなざしを向けてくる。
でも、ほら。ファーマンのことは昨日の夜はじまったばかりで、お父様たちにももちろん知らせていないし、婚約だってしていないから、セルマに教えるわけにはいかない。だってセルマの耳に入るとお父様たちに筒抜けなんだもん。
わたしは楽なドレスに着替えて、蜂蜜色の少し癖のある髪を丁寧にまとめてもらって、セルマに「廊下でスキップしてはいけません!」と怒られながら一階へ向かう。
今日の朝ご飯はな~にかな~。
ファーマンも一緒に食べてくれるかな~。
ふわっふわのオムレツがあったら嬉しいな~。
るんるんと鼻歌を歌いながらメインダイニングの扉を開いたわたしは、笑顔のままピシィ、と固まった。
メインダイニングの縦に長いテーブルの上座で、宮廷楽師の奏でるヴァイオリンの幻聴さえ聞こえてきそうなほど優雅に、我が物顔で茶をしばいていたのは。
「……、何でいるんですか、殿下……」
昨日追い払った、わたしの元婚約者様でした。
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