旦那様は魔王様
7
――夜。
シヴァはソファに腰掛けて「渋々」本を読んでいた。
今朝、突然やってきたアスヴィルに、延々と愚痴を聞かされた挙句、無理やり手渡された本だった。
――少しは女心を学んでください!
女心とは無縁そうな厳つい顔をしたアスヴィルに女心が何たるかを語られ、手渡された本は恋愛小説だった。
ミリアムの本棚から持ってきたらしい。
どう考えても嫌がらせである。
アスヴィルは、ミリアムとイチャイチャできなかったことが、よほど腹立たしかったようだ。
だが、シヴァに恋愛小説は、無理がありすぎた。
最初の三ページで嫌になったシヴァは、ぽいっと本を放り投げると、ソファにごろんと横になった。
沙良と仲良くしろと言われたが、どう仲良くしろというのだ。
実のところ、沙良をこちらの世界に連れてきてから、シヴァは沙良と数えるほどしか会っていなかった。
数日に一度、アスヴィルから菓子作りを学んでいる沙良が、作った菓子を持ってシヴァの部屋を訪れることが、ここ最近の唯一の接点である。
菓子を持ってきた沙良は、シヴァの部屋で茶を飲んで、二言三言のささやかな会話をし、去っていく。
ミリアムやアスヴィルは不満のようだが、シヴァはそれで十分だと思っていた。
沙良は子供だ。
嫁として連れてきたことは間違いないが、だからと言って沙良に「嫁」であることを求めてはいない。
はあ、とシヴァはため息を落とした。
――そのとき。
ポンッ
ワインのコルクが抜けるような音がした。
なんだ、と億劫そうに起き上がって、部屋の中に視線を走らせ――シヴァはぎょっと目を剥いた。
窓際に沙良が立っていた。
その顔は、ほとんど放心状態のように茫然としている。
それだけならまだいい。
沙良は、服として機能しているのかもどうか怪しいシースルーの夜着を着ていて――
「ぴ、ぴきゃああああああああ!」
一瞬後、シヴァの部屋に沙良の絶叫がこだました。
シヴァはソファに腰掛けて「渋々」本を読んでいた。
今朝、突然やってきたアスヴィルに、延々と愚痴を聞かされた挙句、無理やり手渡された本だった。
――少しは女心を学んでください!
女心とは無縁そうな厳つい顔をしたアスヴィルに女心が何たるかを語られ、手渡された本は恋愛小説だった。
ミリアムの本棚から持ってきたらしい。
どう考えても嫌がらせである。
アスヴィルは、ミリアムとイチャイチャできなかったことが、よほど腹立たしかったようだ。
だが、シヴァに恋愛小説は、無理がありすぎた。
最初の三ページで嫌になったシヴァは、ぽいっと本を放り投げると、ソファにごろんと横になった。
沙良と仲良くしろと言われたが、どう仲良くしろというのだ。
実のところ、沙良をこちらの世界に連れてきてから、シヴァは沙良と数えるほどしか会っていなかった。
数日に一度、アスヴィルから菓子作りを学んでいる沙良が、作った菓子を持ってシヴァの部屋を訪れることが、ここ最近の唯一の接点である。
菓子を持ってきた沙良は、シヴァの部屋で茶を飲んで、二言三言のささやかな会話をし、去っていく。
ミリアムやアスヴィルは不満のようだが、シヴァはそれで十分だと思っていた。
沙良は子供だ。
嫁として連れてきたことは間違いないが、だからと言って沙良に「嫁」であることを求めてはいない。
はあ、とシヴァはため息を落とした。
――そのとき。
ポンッ
ワインのコルクが抜けるような音がした。
なんだ、と億劫そうに起き上がって、部屋の中に視線を走らせ――シヴァはぎょっと目を剥いた。
窓際に沙良が立っていた。
その顔は、ほとんど放心状態のように茫然としている。
それだけならまだいい。
沙良は、服として機能しているのかもどうか怪しいシースルーの夜着を着ていて――
「ぴ、ぴきゃああああああああ!」
一瞬後、シヴァの部屋に沙良の絶叫がこだました。
コメント