悪徳令嬢に転生したのに、まさかの求婚!?~手のひら返しの求婚はお断りします!~
町の人と交流します!2
居間に降りると、すでにフリーデリックが席についていた。
彼は部屋に入ってきたアリシアに視線を向け、ぱっと頬に朱を散らせると視線を落とす。
「お、おはよう、アリシア……嬢」
「おはようございます、騎士団長」
妙な反応を見せたフリーデリックのことは少し気になったが、アリシアは給仕に椅子を引かれて席につく。
フリーデリックはちらちらとアリシアに視線を注いでは、なにやらもじもじしていた。
首をひねっていると、アリシアとともに居間に降りてきていたジーンが盛大にため息をつく。
「フリーデリック様、お褒めになるときは、しゃきっと、ずばっと、堂々とお褒めなさいませ!」
「わ、わかっている!」
フリーデリックはごほんと咳ばらいをすると、赤くなった顔をアリシアに向けた。
「アリシア……嬢。その、そのだな……、そ、そのドレス……よく似合っている」
「え? あ、ああ……、ありがとう、ございます」
アリシアは虚を突かれて目を丸くした。
「その色……似あうと、思っていたんだ。着てくれて嬉しい」
「え?」
赤くなっているフリーデリックにつられるように、アリシアの頬に朱がさす。
(似合と思う? 着てくれて嬉しいって言った!?)
これも、アリシアに結婚をうなずかせる作戦だろうか? そう思うのに、アリシアは不覚にもドキドキしてしまった。
ジーンが満足そうに頷いて、アリシアの隣に腰を下ろす。
ジーンは先に食事を取ったそうで、アリシアの隣で優雅にティーカップを傾けていた。
アリシアは深呼吸して心を落ち着けると、出されたオムレツを口に運んだ。
フワフワのオムレツは口の中でとろけて、とても美味しい。
昨夜も思ったが、雇われているコックは腕がいいらしい。食事はどれも美味しく、公爵邸で使用人たちが出て行ってからはパンと水との食事を続けていたアリシアを感動させた。
朝食をすべて平らげ、食後に出された紅茶を飲んでいると、視線を感じてアリシアは顔をあげる。
フリーデリックがじっとこちらを見つめていた。
「アリシア……嬢。今日はとてもいい天気だな」
「は? ……そうですわね」
アリシアは背後の窓の外に視線を向けて、小さく頷いた。確かにいい天気だ。だが、それがなんだというのだろう。
アリシアは紅茶を飲みながら考える。
いい天気。それに気がつくと、外に出たくなってくる。今までずっと息を殺して生きてきたが、この一か月は自由に生きられるのだ。外に出たい。誰の目も気にせず、ゆっくりと歩いてみたかった。
「だか……、きょ……、か」
(近くに町があるって言っていたわね。わたしが行っても、町の人に嫌な顔はされないかしら?)
考え込んでいたアリシアは、フリーデリックが続けて何かを言っていたことに気がつかなかった。
(このあと、行ってみようかしら?)
近くのあると言っても、実際どのあたりに町があるのかアリシアにはわからない。だが、ジーンや使用人の人たちは知っているだろう。距離があるなら馬車を用意してもらえればありがたいが、まあ、ここは我儘を言うまい。
あとでジーンに訊いてみようと思ったアリシアは、さっさと紅茶を飲み干して部屋に戻って出かける支度をしようと思った。
しかし、アリシアが席を立つ前に、「もう!」というジーンの叫び声が聞こえてびっくりしてしまう。
何事だと思ってジーンを見れば、彼女はフリーデリックに怒っていた。
「ですから、ぼそぼそ喋っていないで、はっきりとおっしゃい!」
アリシアはキョトンとして、フリーデリックに視線を向ける。彼は何か言っていたのだろうか?
見れば、フリーデリックの顔は赤く染まっていた。大きな体をして少年のように頬を染めるその姿は、正直、嫌いではない。嫌いではないが、よくわからなかった。
「ア、アリシア……嬢……、今日、その、デートをしないか!?」
アリシアはパチパチと目を瞬いたあと、
「はあ?」
思わず、素っ頓狂な声をあげていた。
彼は部屋に入ってきたアリシアに視線を向け、ぱっと頬に朱を散らせると視線を落とす。
「お、おはよう、アリシア……嬢」
「おはようございます、騎士団長」
妙な反応を見せたフリーデリックのことは少し気になったが、アリシアは給仕に椅子を引かれて席につく。
フリーデリックはちらちらとアリシアに視線を注いでは、なにやらもじもじしていた。
首をひねっていると、アリシアとともに居間に降りてきていたジーンが盛大にため息をつく。
「フリーデリック様、お褒めになるときは、しゃきっと、ずばっと、堂々とお褒めなさいませ!」
「わ、わかっている!」
フリーデリックはごほんと咳ばらいをすると、赤くなった顔をアリシアに向けた。
「アリシア……嬢。その、そのだな……、そ、そのドレス……よく似合っている」
「え? あ、ああ……、ありがとう、ございます」
アリシアは虚を突かれて目を丸くした。
「その色……似あうと、思っていたんだ。着てくれて嬉しい」
「え?」
赤くなっているフリーデリックにつられるように、アリシアの頬に朱がさす。
(似合と思う? 着てくれて嬉しいって言った!?)
これも、アリシアに結婚をうなずかせる作戦だろうか? そう思うのに、アリシアは不覚にもドキドキしてしまった。
ジーンが満足そうに頷いて、アリシアの隣に腰を下ろす。
ジーンは先に食事を取ったそうで、アリシアの隣で優雅にティーカップを傾けていた。
アリシアは深呼吸して心を落ち着けると、出されたオムレツを口に運んだ。
フワフワのオムレツは口の中でとろけて、とても美味しい。
昨夜も思ったが、雇われているコックは腕がいいらしい。食事はどれも美味しく、公爵邸で使用人たちが出て行ってからはパンと水との食事を続けていたアリシアを感動させた。
朝食をすべて平らげ、食後に出された紅茶を飲んでいると、視線を感じてアリシアは顔をあげる。
フリーデリックがじっとこちらを見つめていた。
「アリシア……嬢。今日はとてもいい天気だな」
「は? ……そうですわね」
アリシアは背後の窓の外に視線を向けて、小さく頷いた。確かにいい天気だ。だが、それがなんだというのだろう。
アリシアは紅茶を飲みながら考える。
いい天気。それに気がつくと、外に出たくなってくる。今までずっと息を殺して生きてきたが、この一か月は自由に生きられるのだ。外に出たい。誰の目も気にせず、ゆっくりと歩いてみたかった。
「だか……、きょ……、か」
(近くに町があるって言っていたわね。わたしが行っても、町の人に嫌な顔はされないかしら?)
考え込んでいたアリシアは、フリーデリックが続けて何かを言っていたことに気がつかなかった。
(このあと、行ってみようかしら?)
近くのあると言っても、実際どのあたりに町があるのかアリシアにはわからない。だが、ジーンや使用人の人たちは知っているだろう。距離があるなら馬車を用意してもらえればありがたいが、まあ、ここは我儘を言うまい。
あとでジーンに訊いてみようと思ったアリシアは、さっさと紅茶を飲み干して部屋に戻って出かける支度をしようと思った。
しかし、アリシアが席を立つ前に、「もう!」というジーンの叫び声が聞こえてびっくりしてしまう。
何事だと思ってジーンを見れば、彼女はフリーデリックに怒っていた。
「ですから、ぼそぼそ喋っていないで、はっきりとおっしゃい!」
アリシアはキョトンとして、フリーデリックに視線を向ける。彼は何か言っていたのだろうか?
見れば、フリーデリックの顔は赤く染まっていた。大きな体をして少年のように頬を染めるその姿は、正直、嫌いではない。嫌いではないが、よくわからなかった。
「ア、アリシア……嬢……、今日、その、デートをしないか!?」
アリシアはパチパチと目を瞬いたあと、
「はあ?」
思わず、素っ頓狂な声をあげていた。
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