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王子にゴミのように捨てられて失意のあまり命を絶とうとしたら、月の神様に助けられて溺愛されました

狭山ひびき

カモミールの妖精姫来襲! 4

「カモミールの妖精姫がそんなことを?」

 サーシャロッドは、エレノアのふくらはぎを撫でていた手を止めた。

 カモミールの姫はあのあと戻ってこなかった。

 エレノアが心配になって月の宮の中や庭を探し、妖精たちやリーファに訊ねても誰も知らないという。

 サーシャロッドなら心当たりがあるだろうかと訊ねてみたが、彼は首を横に振った。

「残念ながら見ていないな。大方、湖のほとりにでも戻ったのではないか?」

「そうならいいんですけど。ただ、淋しそうだったから……」

「好きな人に、花占い、ね」

「花占いって何ですか?」

「ああ、知らないのか」

 サーシャロッドはエレノアを膝の上で横抱きに抱えなおす。

 妖精たちがベッドの上にばらまいている花を一輪取って、エレノアに手渡した。

 エレノアの手に自分の手を重ねて、花びらを一枚一枚ゆっくりとちぎらせると、

「こうして花びらをちぎりながら、『好き』と『嫌い』を交互に言うんだ」

「すき、きらい、すき、きらい、すき……」

 エレノアは素直に花びらをちぎりながら、「好き」と「嫌い」を交互に言っていき、最後を「好き」で終えると、残った茎を手に握ったままサーシャロッドを振り返る。

「好きで終わりました」

 サーシャロッドは楽しそうに笑って、ぎゅっとエレノアを抱きしめた。

「当然だな。私はお前が好きだから」

「え?」

「これは、相手の気持ちを占う方法だ。最後が『好き』で終われば相手は自分のことが好き、『嫌い』で終われば相手は自分のことが嫌い。まあ、所詮花びらをちぎるだけの占いだからな、不確かなものだが」

 エレノアは手の中の茎を見つめて、いつも「嫌い」で終わってしまうと言っていたカモミールの言葉を思い出した。

 サーシャロッドは不確かなものだと言うが、毎回「嫌い」で終わっているのなら、例え不確かなものであっても落ち込むに決まっている。

 じっと茎を見つめたままのエレノアに、サーシャロッドは小さく笑うと、その手から茎を取り上げて、かわりに新しい花をエレノアの髪に差した。

「お前が悩んでも仕方がない。カモミールのことは、当人たちで解決するしかないだろう?」

「当人たち?」

 ということは、サーシャロッドはカモミールの好きな人を知っているのだろうか? 気になる。

 エレノアがじっとサーシャロッドを見上げると、彼はやれやれと肩をすくめた。

「仕方がないな」

 そして、エレノアの耳にこっそりと耳打ちした。

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