【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第146話 誰にだって意外な一面はあるものです。



「セレス!?」


不意打ちで現れたセレスによって、俺はアリサを退けるような感じで立ち上がった。


「あっ、セレスだぁー!」


アリサも、前の前まで俺に頭を撫でてもらっていたのが嘘のように、勢いよくセレスに向かって抱きついた。
セレスはそんなアリサを危なげそうに受け止め、頭を撫でてあげている。


「えへへっ」


アリサも嬉しそうでなりよりだ。


まあ、それは置いといて。


セレスには、目覚めてから聞きたいことがたくさんあった。それを聞こう。


だが、その前に。大丈夫だろうけど確かめたいことがある。


「セレス、お前は洗脳されているのか……?」


俺は確信を持つために、言葉を強くして聞いた。


セレスはその言葉を聞くと、アリサの頭を撫でている手を止め目を瞑った。


「???」


そんなセレスを、アリサは不思議そうに見上げた。


目を瞑ったセレスは、暫しの沈黙を保ち、そして再び目を開けた。


「はい、私はセレスです。この度はご迷惑をお掛けしました、様……」


セレスは肩苦しそうに俺に一礼した。


良かった。取り敢えずもう洗脳されているっていうことはないようだ。


「じゃあ、これからまた私たちの家のメイドとしてーーーー」


「それは出来ません!!」


セレスが強く放ったその一言が俺の言葉を遮り、この部屋を支配した。
そして、セレスは言葉を続けた。


「私がシトレア様と一緒に良いはずがないです。だって私は……!」


セレスはそれっきり黙ってしまった。


ああ、これは一番厄介なのがきたなぁ……
俺はそう確信したのだった。












取り敢えずこの場にアリサがいると妙な雰囲気になりそうなため、後で遊んであげるという口約束をして、一旦アリサにこの場を離れてもらった。


そして話を戻そう。


たぶん、セレスの中で洗脳されていた時の記憶の一部分が残っているのだろう。


そしてその一部が厄介なのだ。


セレスの中には、俺のことを殺そうとした時の記憶が一部分として残っているのだろう。
あくまで予想だが、俺を殺そうとした時、剣が俺の手前で止まったため、その時だけ自我が少し戻ったのだろう。


しょうがない、一つしてやるか……


俺は一呼吸置いて、あれっきり黙り込んでしまったセレスに言った。


「私と一緒にいられない?ーーーーセレス、それは逃げだよ」


「逃げなんかではありません!!私はシトレア様を殺そうとしたメイドですよ?そんなメイドがお側にいて良いはずがありません……」


セレスは今にもこぼれ落ちそうな涙を我慢し、俺にそう言った。


「でもそれはただセレスが楽になりたいだけだろ?」


そう、それでは自分が負った罪からただ逃げ出すだけになる。


セレスは俺の言葉を聞いてハッとした表情を見せたが、それを振り切って俺に言い返した。


「違います!!シトレア様のお側を離れても私の心はずっと痛いままで、辛いままで……そして寂しいだけです!!だからーーーー!?」


俺は、セレスがいいから前にセレスを優しく包み込むように抱きしめた。


「セレス、もう正直になっていいんだよ……」


「ううっ、うわぁああーーん!」


その言葉でセレスの涙腺が緩くなったのか、セレスは俺に抱きついて子どものように泣き始めた。


「本当はシトレア様の側にいだいでずぅ!!お世話したいですし、一緒にお風呂入ったりもじだいでずぅ!!」


「ああ、お世話されてやるしお風呂だって一緒に入ってやる」


「キスだっでしだいでずぅ!!」


「もちろん、キスだって……って!キスはしないからな!?」


「ううっ、ジア様に振らでまじだっ」


「それは嘘泣きだろ!?」


まあ、取り敢えずセレスのことは解決?したのだった。





















































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