【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第142話 時間稼ぎ



時はシトレアがウンティーと試合をしている最中に遡る。


ココロは、試合?の時に倒れた、サラの様子を伺いに行こうとしていた。
先にシトレアのメイド、セレスがサラの所にいるのは知っていたが、一応セレス一人だけだと心配だからということで、シトレアにサラの所に行くことを頼まれていた。


だが、シトレアに言われてなかろうとも、サラの所へ見舞いとして行くつもりだったため、シトレアの頼まれ事はココロからしても一石二鳥であった。そのためココロは、シトレアの頼まれ事を潔く了承したのであった。


だがココロは、歩いてサラの所へ向かっている最中、周りの空気に少し違和感を感じていた。


(なんですの…?このピリッと感じるような、居心地の悪い空気…ただごとでは無さそうですわ…何か大変ことが起きてなければいいのですけれど…)


ココロは少し不安感を漂わせながらも、サラの所へと歩みを進めた。
だが、そのココロが感じる違和感は、サラの所へ近づくにつれてどんどんと大きくなっていくばかりだった。


そしてサラのいる部屋の前に着いた所でその違和感は頂点に達していた。そこでココロは、違和感だけではなく、恐怖を初めて覚えた。


(中に入りたいですわ…でも…怖いですの!!)


その気持ちがあっても、その部屋の中から感じるピリッとくる空気と恐怖がココロの心の大半を支配し、ドアノブを触ろうとすることでさえも手が震えて躊躇ってしまう。そのためココロは、その場で何もできずにいた。


ココロはその後も色々と葛藤しながら気持ちを整理させた。その甲斐あってか、ドアノブに触れることはできた。だが、未だにドアノブを回し、部屋に入るという行為はできないでいた。


だが、その時状況が大きく変化した。


(あとはこれを回してドアを開けるだけですのに!わたくしの手!動いてくださいまし!)


ココロがそう念じた瞬間、ドアノブが回り、ドアが開かれたのだ。ココロはそれに驚いて、何歩か後ろに下がり、状況を伺った。


そしてドアが開いてーーーーーーーー


出てきたのはーーーーーセレスだった。


ココロはそれにホッとしてセレスに言い寄った。


「セレスさんーー」


その瞬間だった。


「えっ…?」


セレスがココロの脇腹を手でえぐり、ココロの脇腹は血が吹き出ていたのだ。


「なぜ…?」


ココロは痛みに耐えながらもセレスに聞いた。だが、その言葉を待たずにセレスの攻撃は続いた。


壁に向かって投げられ、威力が強すぎたのか、ココロの身体は当たった壁を粉砕していく。


「っ…!」


「きゃぁぁああーー!!」


そしてココロが倒れた所の近くにいた生徒が、血だらけの生徒が突然現れたことに驚いたのかはわからないが、いきなりのことに悲鳴をあげた。そしてある者は驚いて動けなくなってしまっり、そしてある者はその場から走って逃げだしてしまったりと、その場はカオスな状況となっていた。


そんな中、ココロは痛みに耐えながらも立ち上がった。


「あの…大丈夫ですか…?」


怯えながらココロに話しかけてくる生徒もいるが、「早く逃げてこのことを先生に報告を!」と伝え、周りの生徒たちに被害を出さないように気配った。
その甲斐あってか、周りの生徒たちは、自分たちがいると逆に迷惑をかけると理解してくれたため、急いでその場から離れ、安全な場所へと向かっていった。


ココロはもう一度セレスと向き合って戦闘の構えをとった。といっても、ココロとセレスの戦力差は圧倒的にある。そのため、自分が負けるということは最初から分かっていた。


だが、時間を稼ぐためには自分がするしか無かったのだ。何とかセレスの攻撃を魔法で軽減させて、受けるダメージを減らしていく。これしかココロの頭には考えが無かった。いや、それしか方法が無いのだ。
未熟な魔法では子供相手にはまだしも、セレスといった大人たちには効くことはほぼほぼない。逆に隙を作ってしまうのだ。


だからココロは耐えた。それも限界を超えて。


耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えた。


魔力が枯渇しそうなくらい数えきれないほど耐えた。


だが、限界を超えた人間には必ずリミットが付いているもの。その時が遂にやってきた。


ココロは魔法を自分に張ろうとしたが、魔力が枯渇してしまったためか、魔法を失敗してしまった。


そこをセレスが見逃すわけもなく。


「しまっーー」


ココロは、また壁を破壊を粉砕しながら勢いよく吹き飛ばされた。


ココロはまた立ち上がろうと足に力を入れようとしたが、すでに身体も限界を超えていたのか、思った通りに身体が動かなかった。


その時だった。


近くにココロが知っている人物が立っていた。


(もしかして彼女なら…)


ココロはそう信じて最後の力を振り絞って声を出した。


「はぁ…はぁ…シトレアさん」


「ココロ!?」


シトレアは、ココロの元へ駆け寄った。そしてココロは自分の元へ駆け寄ったシトレアに、セレスのことを軽く説明した。


「セレスが!?」


案の定シトレアは驚いていた。だが、それもつかの間。ココロは気配を感じとって力一杯叫んだ。


「来ますわ!!」


だがシトレアは、セレスの姿を見てショックが大きかったのか、何も出来ない状況でいた。


そしてそのまま…


セレスはシトレアに強烈な一撃を放った。

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