【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第140話 シトレアvsウンティー



時は試合が始まる瞬間に巻き戻る。


俺は、いつでもどんな攻撃にも耐えられるように、細剣を構えてウンティーの様子を伺おうとしていた。
そして大方予想通り、ウンティーから先制攻撃を受けた。


「こういう勝負は先手必勝だ!覚えておけ!!」


「えっ?」


俺は不覚にも、「えっ?」と間抜けな声を出してしまった。


理由は、ウンティー君の先制攻撃にある。


そう、先制攻撃まではいいんだウンティー君。先手必勝もちょっと無茶しすぎ感はあるが、作戦としては存在する。だが、それは威力の高い攻撃でないとそんなに意味はない。相手の牽制にならないからだ。そして肝心のウンティー君の攻撃はというと…


「弱すぎる…」


ウンティー君の使っている武器は、多くの人が使う剣だ。そしてウンティー君は風魔法に少し適性があるのか、風魔法に乗せて斬撃を放っている。
だが、その斬撃が弱すぎるのだ。


よって俺は、魔眼を使ってその斬撃を自分にあたる直前に、無効化するということが容易にできた。


「なっ!?」


ウンティー君は、俺が斬撃を喰らいながらも、その場に無傷で立っていることに驚いている。まあ、当たっているように見せたからな。


「お、前なんで無傷なんだ!?」


「ウンティー君」


「な、なんだ!?」


「簡単に私を倒せるとは思わない方がいいと思うよ?私、強いから」


俺の強い目線に一瞬怯んだようにしたウンティー君だったが、すぐに正気にというか、いつもの気が強そうなウンティー君に戻った。


「ふんっ、戯れ言を…と言いたいところだが、俺の中でのお前の評価が思った以上に低かったみたいだ」


おー、ウンティー君の中で俺の株が上がった。別に俺にとっては嬉しくはないけど。


「だがな、シトレア・シルフォニウム。実力では俺が優っていることは変わらねえ。その優劣をこれからたっぷりと見せてやろう。お前がすぐに負けなければな!!」


その言葉を放った瞬間、ウンティー君は、俺に向かって猛進してきた。


来るっ!


俺は細剣を構え直した。そしてウンティー君が剣を振り上げた瞬間。


ここだ!!


俺は、ウンティー君が俺に向かって振り下ろした剣を、顔の真上からそらすように細剣を構え、ウンティー君の剣を横にとそらした。


剣に自分の力を一杯に詰め込んだウンティー君は、俺が剣をそらしたことによって、前のめりに体勢を崩さざるおえなかった。


そこを俺は見逃さなかった。


俺は一気にウンティー君との間合いを詰め、力弱いが正確である一撃をウンティー君に放った。
だが、それで十分だった。


「っ!」


体勢を崩していたウンティー君は、俺の一撃を体勢が崩れている中で受け止めるしかできないからだ。そしてその文字通りウンティー君は、俺の一撃を体勢を崩しながらも、俺の力が弱いこともあって、なんとか剣で受け止めた。


だが、俺の細剣を受け止めたウンティー君は、体勢を整えようとした時に、俺の一撃を受け止めたため、体勢が後ろに崩れてしまっていた。そして、剣はさっきの俺の一撃で剣ごと後ろに持っていかれているため、ウンティー君の前はガラ空き状態。


俺は一気にウンティー君との間合いを詰めて、ウンティー君の首に細剣を添えた。


「ま、負けました…」


そこで決着はついた。


「勝者、シトレア!」


審判の先生がそう言うと、俺はサラが心配なため、すぐにこの場から離れ、すぐにサラのところに向かおうとした。だがその前に一つだけ。


「ウンティー君」


「………」


「ウンティー君が肯定している強さは強さじゃない。それはただの傲慢だ。この世の中、君の力だけが全てじゃないよ」


俺はその一言を言って、サラの元へ向かったのだった。だが俺は、その間に気づいたことがあった。


魔法だったらもっと楽に勝てたんじゃない?


俺は少し後悔しながらも、サラの元へ向かったのだった。


ちなみに、ヨメナとオシエは、すごく喜んでいたそうです…



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