【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第91話 俺は一人で立ち向かう



「えっ?」


サラは俺がここにいることを驚いている。
いや、幼い俺がここにいることを驚いているのだろうか。


そんな驚いているサラに俺は駆け寄る。


「サラ大丈夫?」


「…はい……あなたは…」


「私はシトレア。サラを助けにきたのかな?」


「何で…」


「何でって…仲良くなるって決めたから」


「でも私は…気が弱いし、人見知りでっ」


「そんなの知ってる。それでも仲良くなってみたかった。それだけじゃダメかな?」


「えっ…」


サラは驚いたのか安心したのか、ポツリポツリと涙をこぼす。
そんなサラを俺は優しく抱きしめる。


するとサラも俺を抱きしめ我慢していた涙が溢れ出す。


サラが泣き止むまでこのままでいよう。
そんなふうに思ったが、しばらくしてその状況は一転した。


「シア様。下の人たちが上の階に上がってきます!」


その言葉で俺とサラは抱きしめることをやめる。


サラの顔をみると不安そうな顔をしている。
そんなサラに俺は話しかける。


「サラ大丈夫。私が何とかする。だからサラはあそこの女の人、シルヴィアと一緒にいて。そうしたら安全だから。わかった?」


サラは俺の言うことにうなづく。
そして俺はシルヴィアの方を向く。
そしてシルヴィアもうなづく。


「じゃあ、行ってくる」


俺は恐る恐る部屋から出た。






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《チルド視点》




「チルドさん!今回はやりましたね!」


「ああ、上手くいったな」


「いやー、本当に成し遂げてしまうなんて」


「これで英雄たちも終わりですかね!あははは!」


みんなは英雄と関わりの強い人を一人攫ってきて悠長になっているが、俺はそうは思っていない。


絶対何か仕掛けてくるはずだ。
が、仕掛けられたとしても俺だってあの国では一流の冒険者だったんだ。
英雄の身寄りくらい倒してやる。


そして歓喜のムードに入ってはしゃいでいる時だった。


「ひっ!」


上の階から悲鳴の声が聞こえた。


それと同時に俺たちは黙り込む。


「………」


そしてしばらく静まったあと、その中の一人が喋りだす。


「じょ、冗談だよな?何も聞こえなかったぞ。そ、そうだよな!」


「あ、ああ、そうだな!」


俺以外のみんなはあたかもなかったかのようにしようとするが、次の瞬間それは関心と変わった。


ドンッ


何かが倒れる音が聞こえる。
俺はそれと同時に周りの奴らに命令をする。


「おい、上を確認してこい!」


「わ、分かりました!」


「おい、いくぞ!」


そしてその場の二人が二階に向かった。
そしてその場に残ったあと一人をここに待機しろと命令した。


敵は絶対外へ出てくる。
そこを俺は狙う。


俺は自分でもわかるくらい不気味な笑顔をしていた。






      ーーーーーーーー






俺は階段付近に身を潜める。


足跡からして数は二人。
今の俺でも十分対応できる人数。


そして二階にたどり着いたと同時に…


「斬るっ!」


俺は創造する魔法クリエイティブを使って創り出した剣で一人の首を斬る。


「ひえっぇ!…うわぁあっ!」


そしてもう一人は一人が死んだのを見て驚いてしまい、階段を踏み外して頭から落ちてしまった。


たぶん、死んでしまっただろう。


「何だ!?」


そして一階で待機していたであろう一人が、騒ぎに気づいて俺たちの方へ近づいてくる。


が、それはさせない!


俺は一気に階段を駆け下りて近づいている一人の首を狙って剣を振る。


「はぁあっ!」


そしてその一撃は見事に命中し、そいつは絶命する。


これで三人目。
あと一人はどこだ?


俺は一階のすべての場所を探し回るがどこにもいる気配がない。


「いない…どこだ!?いや待て!」


俺は冷静になるために目をつぶって神経を研ぎ澄ます。


「ーーーいたっ!」


そして俺は駆け出した。


家を出て前の通り、殺気が溢れ出ている場所へと。





























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