【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第66話 ヨメナ、怒る。



何人かの足音が、俺たちに近づいてくる。
詳しくは十三人か。
たぶんこの人たちは、盗賊だろう。
盗賊だから気性は荒いだろうが、そんなに強い魔力も持っていないし、たぶん、ヨメナ一人で十分だろう。


それでも、エリナやアリサ、オシエ、フィーナさんたちは、少し慌てている。
一方で、俺とヨメナ、ライラ、セレスは逆に落ち着いている。


これは経験の差だろう。
だが、セレスだけは、経験もあると思うが、もとより性格上そうなのだろう。


ちなみに自慢ではないが、この中で俺が一番強い。
まぁ、神力使えるし、魔力の方は無尽蔵だし、シルヴィアがいるし……
そう思うと俺ってやっぱり、ずば抜けて強くない!?
体力がほぼ皆無に近いから、長期戦にもつれ込んだら負けてしまうが……


おっと、話しているうちに盗賊が近くまで来たぞ。


「お前らの荷物ここに置いてって貰おうか!」


「そこの女!お前いい女だな、命までは取らないでやるから、お前だけ俺のところに来いよ。可愛がってやるぜ、いっひっひ」


とヨメナに言う。


「おい待てよ、そばにいる小さい女…てか、似ているから姉妹?いや母娘だな。二人とも俺たちが可愛がってやるから来いよ。ひーひー言わせてやるぜ」


ブツっ!


ヨメナの怒りがここに来て爆発した。


「……俺、しーらない」


ここまで来たらもう、俺にはヨメナを止められない。


「貴方たち、私のシアをひーひー言わせてやるですって?」


「「ひっ!?」」


盗賊たちは、ヨメナの身体に帯びた魔力で怯えてしまった。


「そんなことさせるわけないじゃない。わ、た、し、のシアだから。…死になさい!」


そしてヨメナは、中級魔法と言われている、その中でも火力が高い魔法を使って、一気に盗賊たちを片付けた。
俺から見ても少しかわいそうだったが、見なかったことにしよう。


 「「「…………」」」


みんな、何故か気まずい雰囲気が滲み出ていて話す人もいない。


「…じゃあ、行きましょうか」


「「「はい…」」」


そう言ったヨメナに、俺たちは返事をしてから、再び出発した。


馬車の中はしばらく、気まずい雰囲気が漂っていた。

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