【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第53話 いつもありがとう



皆がお昼を食べているころ、俺はやっとのことで着せ替え人形という地獄から解放された。


最後らへんはもう、本当に辛すぎて泣いてしまった。だが、それが良かったのか、ミレナとヨメナは、服を着せ替えるのをやめてくれた。


ちなみに試着したものは、ほぼ全てヨメナが買っていた。また家でもああなるのか…と思いつつ、ヨメナが服を買うところを見ていた。
そしてヨメナは空間魔法で買った服をしまう。魔法ってやっぱり便利だなー。


俺の服を買い終え、ミレナと別れた俺たちは、ここらで昼食を取ることに決めた。


そして飲み食いできるお店を探していたところ、ある知っている人物と出会った。


「あれ?シア?」


「うん…?あ、エリナ、とエリナのお母さん」


「シトレアちゃん、こんにちは」


そう、俺たちは、エリナと、エリナのお母さんと偶然にも街中で出会った。










その後俺たちは、エリナたちのお店で食事をとることになった。


「あれ、誰もいない?」


「今日は、忙しくてお店をお休みにしたのよ」


と、エリナが教えてくれた。


俺とエリナは、いつもは料理が終わるまで二人で楽しくお話をしながら料理ができるのを待っていたが、エリナがお昼の手伝いをしたいと言ったため、俺もその手伝いをするという流れになった。


そんな感じで結局、俺、ヨメナ、オシエ、セレス、エリナとエリナのお母さん全員で流れ的に料理を作ることになった。といっても、俺はお皿を運んだりくらいしかできないが。


今日作るのは、サンドウィッチらしい。


ヨメナが、「どうせなら、自分たちでサンドウィッチに挟むものを決めて食べましょう!」とか言い出して、みんながそれに同調したために、料理というか、卵を茹でて殻をむいてほぐすのと、その他の具材を並べたり、パンの耳を切って、三角にしたりすることぐらいしか準備はすることがなかった。


「準備もできたし、じゃあ、みんなで食べましょうか」


「じゃあ、みんなで」


「せーの」


「「「「「「「いただきます!」」」」」」」


こうして俺たちのお昼ごはんは始まった。








いただきますとの掛け声で、みんなが色々な具材を手に取り、さまざまな具材を乗せ、美味しそうなサンドウィッチが出来上がっていく。


それを眺めて食べるのを忘れてしまっていた俺は、まず、サンドウィッチのパンを手に取って
具材を取ることにした。


どれにしようかなぁ?


種類がたくさんあって、以外と迷ってしまう。たまごやハム、そしてトマト。レタスやお肉。
まだまだそれ以外にもたくさんの具材がある。


全部の具材を挟んで食べたい。でも、今の俺では、すべてを食べきれるほどの胃袋は持ち余していない。だから、厳密な選定が必要なのだ。


「よしっ、決めた!」


そして俺は、サンドウィッチのパンの上に、具材をのせていく。


「これで完成!」


結局俺が選んだのは、レタス、トマト、そして、チーズとハムだった。


まあ、王道だろう。


そして上にまたパンをのっけて挟み終わったら完成だ。我ながら良い出来だと思う。だけど、ちょっと量が多いかも。


「セレス」


「はい、失礼します」


そして、俺の特製サンドウィッチを半分に切ってくれた。


俺の胃袋は、さっき言った通りにそんな食べることが出来ない。せいぜい、二つが限界だろう。
だから俺は、出来るだけたくさんの種類を食べるために、半分に切ってもらって、半分だけ食べることにした。


頭いいだろう?


で、残りの半分は、誰かに食べてもらうことにしよう。


「では、半分は私がいただきますね?」


「うん、ありがと」


本当にセレスには感謝している。
いつもいつも、俺の残り物とかヨメナとオシエが暴走した時とかに助けてくれたりなど、いつもながら助かっている。


「セレス、いつもありがとう」


俺は、セレスに笑顔でお礼を言った。


「いえ、当然のことです」


そう言って、俺の特製サンドウィッチの半分を口に運んで食べてくれた。


「美味しいです」


その言葉は誰にも聞こえないくらい小さくて、照れ隠しなのか、セレスの顔は、少し赤みおびていた。


だが、そのことに気づく人は誰もいなかった。











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