【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる
第39話 エリナと魔法
俺とエリナが、カレーライスを食べ終わったあとのこと。
俺たちは、思ったほかお客さんが増え始めた食堂にいるのが邪魔そうだったため、この店の裏にあるとエリナのお母さんに言われ、俺は空き地で魔法の練習をすることにした。もちろん、みんなに内緒で。
「そういえば、エリナって魔法適性どうだった?」
「えっと、炎と水だったわよ」
ほう、ダブルか。この世界は、ダブルでも結構すごい方だと思う。
「固有スキルは?」
「固有スキルの適性はなかったわよ」
まあ、それはよくある。というか、固有スキルの適性があるほうが珍しい。それがあるだけで、国家いや、世界を脅かす存在になりかねない。そんな人が多いと世界が終わる。
そしてそのことを考えると、固有スキルがあるのを知られると、王族や貴族といった権力者に狙われる可能性がある。というか高い。
だから基本的に固有スキルについては、親しい人と、家族ぐらいにしか伝えない。
俺の固有スキルは強力すぎる。何でも創り出せるのはたぶん、この世界では俺しかいないだろう。これがバレたらこの生活が送れなくなるのも危うくなってしまうかもしれない。気をつけないと。
それはさておき、魔法の練習をしようじゃないか。
「エリナ、使える魔法ってある?」
「えっ、ええ、あるわよ」
「じゃあそれを見せてくれない?」
「わかった、いいわよ」
そして、前に出て魔法を唱える。その瞬間、エリナの片手には火が、片手には水が出現していた。
「すごい…」
本当にすごい。この歳で二つの魔法を同時に繰り出すことは簡単ではない。まだ威力や量が少ないとしても、将来はかなりいい魔法を使えるようになるに違いない。俺はシルヴィアとの神界での鍛錬で鬼のように鍛えてたから簡単にできるが…
「でしょう、すごいわよね、私」
俺の言葉が聞こえてたらしく、ちょっと調子に乗ったエリナ。
いつか俺がその鼻をへし折ってやる。ほどほどにだけど。
と、大人気ない俺だった。今は四歳だけど。
「そういえば、シアの適性は何なのよ?」
「わたし?」
「そうよ」
「わたしは炎と水と風だけど…普通でしょ?」
「トリプルで、何で普通なのよ…」
そうだった。トリプルでも希少だった。トリプルは、この世界でも結構少ない。周りがおかしかったから、感覚がおかしくなっていたな。直しておかないと。
「飛べ」
俺は魔法を唱えて宙に浮く。魔法を唱えては嘘か。俺は魔法詠唱を短縮して宙に浮いた。魔法のレベルが上がると、こんなことも容易にできるようになるのだ。
「へっ?浮いてる…」
エリナは期待通りに驚いてくれている。これは、シルヴィアという便利なと言ったら道具みたいになってしまうかもしれないが、そんな精霊神がいたからこそ出来たものだ。感謝したい。
『私を便利な道具扱いしないで下さい』
とそのとき俺の中で言われた。やっぱりバレてたか。
シルヴィアとの鍛錬で、この世界では、誰にも負けないくらい強くなったが、唯一苦手なことがある。
それは、消耗戦だ。
俺の体力は、ごみ虫みたいにヘロヘロなため、すぐにバテてしまう。風邪はそんなに引かないのに、体力はない。不思議なもんだ。
そんなこともあってヨメナは、俺の魔法について上級魔法まで行くかと最初は考えていたが、体力面でカバーできないため、考えを改めていた。
だからヨメナは、俺のことをそんなに強くないと思ってる。でも、それはそれで好都合だ。それによって、自由に動ける時間が増えるかもしれない。
そう思ったからだ。実際は、変わらない気がするが…そう思うことにする。
この後俺は、エリナにさっきの魔法について散々質問された。頭を振り回されて、死ぬかと思ったよ。
そして帰る時間になったため俺は、夕日に照らされた道を歩いて行った。
途中、誰かに付けられてるような感覚を感じた。
だが、何にも手出しをされないことから危険性はないと思い、それを無視して帰り道を歩いて行った。
あっ、一応、ヨメナ、オシエ、セレスの喜びそうな髪飾りを買ってから帰りました。
特にヨメナ。
絶対に機嫌が悪そうだからな。
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