【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる
第33話 一人でのお出掛け
俺は、お昼を家で食べないで外で食べることにした。
「ママー、行ってくるね」
「…シア、ほんとに大丈夫?」 
ヨメナはとても心配そうに言う。
「ママ、大丈夫だよ?気にしないで」
「ほんとに本当?」
「ママ、しつこい!」
その言葉に傷を負ったのか、すごい落ち込んでいる。俺はそれを機に動いた。
「とりあえず、行ってくるー」
「あっ、シアー!」
おい、この世の終わりみたいな顔をするな。あと、俺が死んだような顔をするな。
それも無視して俺は、街に一人で出掛けるのだった。
街に出掛けた俺は、広場まで着くとまず、お昼を食べるために飲食店を探すことにした。今いる広場には露店が並んでいるが、食べ歩くことしか出来ない。
シトレアは、街に行ってどのお店の中に入ったことがなかった。それも全てヨメナたちが過保護だったためだ。
俺は街の中を歩いて自分好みの店を探す。
この街を今までのんびりと見てこなかったから、とても新しく感じる。
「とても、たくさんのお店がありますね、わくわくします」
シルヴィアも、そんな感じに思っているらしい。
それよりもだ。
「ねぇ、シルヴィア?俺たちって、すごい見られてないか?」
『そうでございますね。理由は明白な気がしますが…』
「俺も分かるが。そうじゃないと思いたい…」
そう、今の俺の姿はとても目立っていた。ただでさえ、この容姿でたくさんの人に注目を浴びて見られているのに、この服は無いと思う。と今自分が着ている服装を見る。
そう、俺は今日、街に出掛けるからと言って、ヨメナに黒を軸にしたドレスを着せられていた。というか、出掛ける際に無理矢理着せられた。ゴジックドレスというらしい。
動きづらいし、周りは普通そんなの着ないから、それはそれは目立つ。
「道に迷ってんのか?」
「お前案内してあげろよ」
「いや、お前がやれよ」
「じゃあ俺が」
「じゃあ俺も」
「じゃあ俺もやろうかな?」
「どうぞどうぞ」
「えっ、お!???」
なんかいろいろと言い合っているが、気にせず進む。
「あの子小さい…なのにすごい可愛い」
「抱きしめたい!」
「やばいわ、ヨダレが垂れてきた…じゅるり」
うっ、背中に寒気がする。そんな注目を浴びる中、一人俺に喋りかけてくる人がいた。
「あなた随分と小さいけど迷子?」
んんっ?小さいとは失礼な。だけど俺は、今は本当に小さいため、言い返したいのを抑えた。
「いや、迷子っていうか…お昼がまだだったので、お店を探してそこで食べようかと…」
「そうなの?でもまだ小さいから誘拐とかにあっちゃうと、パパとママが心配してしまうわよ」
そんなことされるわけないじゃ無いか。俺、最強だし。しかもヨメナの娘っていうことで、恐れられてるし。でも、今日そんなこと言われてないような…
『それはそうでございますよ。そんなドレスを着て、いつも以上におめかしされたシア様は、別人のようですから。私も誇らしいです』
とシルヴィアは自分のことのように自慢する。
そういうことかよ。今度からは絶対普通のものを着て行こう。俺は密かにそう決めたのだった。
「話聞いてるのかしら?」
やべっ、この人の話を聞いてなかった!
そして話を聞いていなかったせいで、俺はこの後、この街の危険性についてこってりと怒られたのだった。
まだ四歳なのに俺…
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