【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる
第19話 お腹の中の救世主
俺はあいさつを終えると言われた通りに転移魔方陣に戻る。そうすると、さっきまでいた場所に戻って着ていた。
「シア!」
「「シア様!」」
ヨメナ、オシエ、そしてセレスが俺のことを待ってましたと抱きついてくる。
「立派だったわよ、こんなに成長しちゃって」
そうやって抱きついてくるが、俺の顔にヨメナの豊かな胸が押しつけられる。
「ちょっ、ママ、ぐるじー」
その声は届かない。そしてつぎは後ろからオシエが抱きついてくる。
「シア様、私も成長なさって嬉しいです!」
そう言って頭に胸を押し付けてくるが、ヨメナと違ってそんなに…
ないわけではないが大きさ的には普通だと思う。ただヨメナが大きいだけで、オシエは押し付けてくるがそんなには苦しくない。
だが、より一層ヨメナの胸に顔が入ってしまったため、俺はもっと苦しくなってしまう。
でも、やっぱヨメナのおっぱいの感触はサイコーだ。苦しくてもこの感触はヤバい。このまま死んでもいい。そう思いながらも俺は苦しさのあまり顔を青ざめてしまう。
そしてセレスがそれに気がついたのかヨメナたちに言ってくれた。
「ヨメナ様、オシエさん。シア様が苦しそうにしてます。そろそろ離してあげてはいかがでしょうか?」
「それもそうね、オシエも一旦離れましょう」
「はい…」
そう言って寂しそうにシトレアから離れる。
「シア、ごめんね、安心したからその衝動で抱きついちゃって……て、シア、シア!」
そう言いながらヨメナはシトレアのことを揺する。
だが、反応はない。そう、時はすでに遅し。すでにシトレアは、ヨメナの胸の中で気絶してしまった。
「どうしよう、シアが気絶しちゃてる!」
「私のせいです、もしものことがあったら…」
そこで一人冷静なセレスは二人に口を挟む。
「大丈夫です。少し寝かしておけば目を覚ますはずです。ですから今はそっと寝かしておきましょう。」
「そ、そうね。そこの椅子に寝かしておきましょう」
「は、はい、そうですね」
そう言ってシトレアを三人で寝かしつけた。
セレスはヨメナとオシエのシトレアに対しての愛情の深さに呆れていた。そのためシトレアを椅子に寝かしつけてから後も、心配してパニックになっている二人の対応に負わなければならなかった。そう、二人はそのあとも慌てていたのだ。
セレスがそれを収めると二人はそれで全てを費やしたのか、シトレアの近くで寝てしまっていた。
三人の寝顔はとても可愛い。女の子の私でさえ惚れてしまうほどに。特にヨメナ様とシア様が規格外だ。
ヨメナ様は全てにおいてほとんどの人が及ばない。プロポーション抜群、顔がとても可愛いく可憐で、何年か前にはたくさんの人から結婚の申し込みがあったそうだ。
その中には貴族もたくさんいたとかいないとか。
エルフという種族で、貴族とかではないだけにとてもすごいと思う。
でもヨメナ様はそのお誘いを全てをすぐに断った。そしてヨメナ様が選んだのは、のちに英雄と称えられる、アキレアというヨメナ様と同じエルフの種族だった。
「彼はそこら辺の人より全然カッコいいし、この世界で一番強いし、私のことをたくさん想ってくれる。そんな人に惚れない人なんていないじゃない?」
ヨメナ様は笑いながらそう言っていた。
たしかに私もそんな人だったらすぐに惚れてしまうだろう。そのあと見事に結ばれた二人は、幸せな時間を過ごしていたらしい。
ここからはいきなりだけど少し、ヨメナ様が私を雇うときに言っていた話しをしよう。
先ほどの話しの続きだが、その幸せはそう長くは続かなかった。
そう、アキレア様が邪神との戦いで死んでしまったからだ。ヨメナ様は必死になってアキレア様を助けようとしたが、時はすでに遅し。
大量に出血していたために、助ける時間がなかった。
そのあと彼女は泣いた。それも涙で自分の体内中にある水分全てが持っていかれるぐらい。
そして彼女はいつしか食べ物を口にせずに、ただただベッドで悲しんでるだけになってしまった。
当たり前のように日に日に彼女は弱っていった。
そんな彼女をみんなは何もできずただ見守ってあげるだけしかできなかった。
そんな時だった。
 
とうとう彼女は、血を吐いて倒れた。
邪神を倒した英雄の妻だということから、早急に治療魔法師が送られた。
診断の結果、彼女の命の危険性はないとのことだった。でも、食事を摂らないと命の危険性があると言われ、彼女をみんなが説得した。
だけど彼女は納得しなかった。
彼女は言った。
たくさんの涙をこぼしながら。
苦しそうに。
悲しそうに。
そして死にたそうに。
そして初めて声を発した。
アキレアの死から。
「私は、アキがいないと生きる意味もないっ!
アキが、アキがいたから頑張れたっ!ここまでやってくることができた!私にはアキしかいないっそのアキがいなくなったら、誰に!誰を…私は愛せばいいの!?」
そう言って彼女は泣きじゃくる。
そんな彼女に救いの手を差し伸べることができるのはその場に誰もいなかった。
そんな時だった。
「すみません、まだ一つ。あなたの命は助かるかもしれませんが、あなたのお腹にいる赤ちゃんは早急に処置しないと命の危険性があります」
「へっ?赤ちゃん?私の?」
「はい。調べたところお腹にもう一つの命があることがわかりました。」
そんないきなりの爆弾発言に、周りの人は茫然としていた。
「ですから口を挟むようで悪いですが、あなたは誰を愛せばいいのかという発言に対してですが…そのお腹の中の子を愛してあげればいいと思います。ちなみに女の子です。ヨメナ様とアキレア様の娘でしょう。アキレア様の分までめいいっぱい愛してあげてください。」
そう言って治療魔法師は出ていった。
そう、これはこの場に救世主が現れた瞬間だった。そのあと彼女はお腹を撫でながら泣いていたらしい。
「アキ、ありがとう…最高のプレゼントをくれて」
彼女は泣いた。今度は悲し涙ではなく、嬉し涙で。周りの人もつられて泣いていた。
そのあと彼女はみるみると元気を取り戻していった。今までのことがなかったかのように。
そして何ヶ月か経ってそのお腹の娘は無事に生まれた。名前はシトレア・シルフォリウム。
その時の彼女は最高の笑顔をしていたらしい。
そして生まれてきたばっかの赤ちゃんに言った。
「生まれてきてくれてありがと」って。
こうして彼女、ヨメナ様は今に至る。
そんな娘を深い愛情を込めて育てるのは当たり前だろう。
「ーーー可愛いですね…」
そしてシトレアのことを撫でる。
ヨメナ様がシア様に救われたのと同じで私もヨメナ様に救われた。次はその物語を語ろう。
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