【旧版】自分の娘に生まれ変わった俺は、英雄から神へ成り上がる

東郷 アリス

第2話 俺は女の子だった!



 まずは状況を整理しよう。


邪神と闘ってしんだ。
女神とあって転生することになった。
生まれたところは、前世結婚したヨメナの子供だった。


納得できない。
いや、絶対にだ。


自分の子供に生まれ変わるとかどんだけの確率だよ!


だからといって、俺はアキレアだよって言っても驚かれるだろうし、世間一般からみると、気持ち悪いだろう。


もう一度ヨメナの顔を見つめてみると、その表情は、何処からか悲しみを運んでいた。


「少し、この子と二人にしてもらいませんか?」


ヨメナがそう言うと、分かりましたと言って、助産師らしき人達は、お辞儀をして部屋から出ていった。








助産師らしき人達が部屋から出ていってしばらくが経った。


ヨメナは、手の中に抱いている我が子、もとい俺。を苦しくならない程度にさっきよりも強く抱きしめた。


「アキっ」


そう言って瞳から涙が溢れた。


「この子だけは絶対…絶対…守りたい」


抱きしめら力が強くなる。
それと同時にヨメナの瞳からは、もっと涙が溢れてくる。


「もう何も失いたくないよっ」


ヨメナは、強く言った。


俺は約束を守れなかった。
自分の瞳からは涙が溢れてこないがそれくらい悔しい。手に力が入る。実際には入っていないが…


この時俺はこう決心した。


自分の正体は、誰にも話さないで、影ながら彼女を守ろう。俺は自分の子供として、ヨメナの子供としてこの人生を生きよう。と。


とりあえず俺は、ヨメナが泣きやむのを待ってやることにした。
この後もっと過酷な試練が数多く潜んでいることを知らずに。






しばらくするとヨメナは、スッキリしたような顔をして泣き止んでいた。
俺もそれを見ていると、とても安心する気がする。
だが、休んでいるのもつかの間だった。


「そうだったわ、授乳しましょう!」


そう言って服から胸を露わにした。


「はいどうぞシア、たくさん飲んでね!」


とシトレアの元へ、俺を、胸のところまで持ってきた。


お、おおっぱい!
いや落ち着け俺!
ヨメナのおっぱいは見慣れているはずだ!
平常心、平常心!
揉むのも飲むのも変わりない!いけ!俺!


その後どうしたかって?
もちろん飲ませていただきました!
やっぱ、赤ちゃんの欲求にはあらがえませんでした。
トホホ…






       ーーーーーーーー






そして俺がシトレア、シアとして生まれてから三ヶ月が経った。
首が座り、ウーとかアーとかだったらしゃべれるようになった。
そして現在進行形で、身体は赤ちゃん、頭脳は大人な俺にとって屈辱な毎日を送っている。


「シア〜、オムツ変えましょうね〜」


何回もオムツを替えてもらっているが、一番大事なとこを見られているし、恥ずかしい。が、慣れてしまった。
なんか自分が穢されたような気分になる。
とても悲しい。


そして今日は、首が座るようになって初めてオムツを替える時間である。
だから新たな自分の息子にあいさつをしよう。
そう思い下を覗く。


「ウーーーー!」


俺の息子が無い!
俺は女の子だったのか!?
ハッハッハ、なんてことだ。驚き過ぎてなんも言えない。ただ涙が自然に出てきている。 


「あら?シア泣いてるのかしら?よしよーし、シア大丈夫よ?私がいるから」


その慈悲深い行動すらも今は嬉しい。
女なんて男と出てるところとないところが逆なだけだ。
女の子として生まれたのは誤算だったが、そんな支障はないだろう。
多分。


そんな間にも、ヨメナにオムツを替えてもらう。


そんな中、「失礼します」と誰かが部屋に入ってきた。


その子は女の子で、艶のいいオレンジ色の髪の毛と、可愛らしい狐の耳がひょっこりと顔を出している。
お尻にも狐の尻尾が生えているのも特徴的なところだ。
見た目でわかるだろうが、彼女は亜人族で狐人である。
胸はあまり無いが、あまり気にすることはないと思う。
彼女からしてはコンプレックスらしい。
やっぱり女心は分からん。


彼女の名前は、オシエ。生まれてから一週間経ってから俺のお世話役になった人だ。


そんなオシエにヨメナは、俺を預けて仕事へ向かった。そう、彼女も毎日が暇なわけではない。
お金だけはたくさんあるから働かなくてもいいのだが、いろいろ面倒ごとがあるからそうはいかない。


そんなことを考えているうちに眠気が襲ってくる。この三ヶ月でこの眠気に勝てないことは知っている。逆らわないで寝てしまおう。
お休み。






「シア様、おねんねの時間ですよ〜」


オシエはシトレアをを抱き抱えながらベビーベッドの方へ向かう。


「あれ、もう寝てるんですね?可愛らしい顔ですね。うふふっ、きっとヨメナ様に似て可愛く育つんでしょう。将来がとても楽しみです」


そう言ってシトレアをベビーベッドに寝かしつけると、「お休みなさい」と言って、シトレアを起こさないように部屋から出ていった。


こうしてシトレアの日常は過ぎていった。











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