声優さえできればいい
第33話 重要なのは、中身であって外見ではない。
「零夢?一体どうしたのかしら?」
私は、部屋に入ってきてから緊張しているのかわからないが、おどおどしている零夢を見てそう言った。
「あの…相談ことがありまして…」
「相談ごと…?」
「は、はい。声優に関しての相談ごとです」
声優に関して…ね。私も昔は結構悩んでいた時期もあった。昔といっても一年前くらいだけれど…
彼女は、私と同じ声優だ。このアイバンで唯一話せる人でもあり、そこそこの中でもあった。
そのため、少しでも力になってあげたいと思い、その相談に応じることにした。
「私、今日もステージ出たんですけど、何か違うなーって。モヤモヤしてて。なんか、ステージを観ててくれてる人たちが面白くなさそうだなーって思っちゃって…」
「何かが足りないけど、それがよくわからない。そうみたいね」
零夢は頷いた。
「それをカノンさんに教えてもらいたくて」
「そう…」
私にもそんな時期があった。けれど、それはこんなに悩む必要はないものだ。答えは決まっているのだから。
「なら笑いなさい」
「へっ?笑う…?」
零夢は、予想外の回答に戸惑いながらも、私に聞き返した。
「そう、笑うのよ。ステージの流れは大体が台本で決まっていて、私たち声優は、その台本、シナリオ通りに事を運ばなければならない。けれど、それは人間で例えると、外見だけであって中身ではないのよ」
「シナリオが外見…?」
「そう、人間は、外見だけでは何もできない。感情があるからこそ人間ってなるのよ。だから、機械仕掛けの台本だったら、笑えないに決まっているじゃない。
貴方が足りないものは分からないけれど、とにかく、自分が笑える中身を作りなさい」
カノンは、荷づくりを終え、椅子から立ち上がった。
「自分が笑える中身を…」
「そうしたら、いつかわかる日が来るかも知れないわ」
カノンは、姉と一緒に、それだけを言い残して楽屋を出ていった。
「私ももっと頑張らないと!」
零夢は、いつもよりも一段と気合を入れて、楽屋を後にした。
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