声優さえできればいい

東郷 アリス

第5話 初めてのキス



「ま、まあ落ち着こう?」


「う、うん…」


「「………」」


少し気まずい…


「あ、あのね、きりん…」


「な、何?」


「きりんは男の子に…戻りたい?」


「うん…学校は普通に行きたいし…」


「うん、そうだよね!当たり前だよね!わかった。…だから私も協力する!!だから…ね?キスして…いい…よ?」


姉はそう言って目をつぶる。


「えっ…?本当に大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。だから、早く!」


「わ、わかった…じゃあ、失礼します…」


そして俺は戸惑いながらも、姉の唇に自分のを重ねた。
そしてすぐに離れようとしたが、


「あれ?戻って…むぐっ!!」


そう、姉に引っ張られてまたキスされた。
しかも舌を入れて。


「ちゅっ…んっ…んはっ…ん」


色っぽい声だけが俺の部屋に流れる。


そしてしばらくしてそのキスが終わる。


「んっ…はぁ…ディープキスで戻ったね?」


「えっ?う、うん…」


「じゃあ、八時間は大丈夫だから…帰りは早く戻ってくるんだよ?」


そう言って何事もなかったかのように部屋から出て行った。


俺はしばらく、姉の柔らかな唇の感触を感じられたディープキスのことがしばらく頭から離れてくれなかった。






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「そんなこともあったわね…懐かしい」   


「あー、最初はあったねー、そういうこと。その時ぐらいに私が学校辞めてカノンのマネージャーになったんだっけ?」


「そうね。私の夢を叶えるために学校を辞めて私に尽くすと決めてくれた。あの時の感謝はいつだって忘れたことなんてないわ」


「そうなの?ちょっと恥ずかしいよ…だけど嬉しい…」


「姉さんありがとう」


「さっ、お仕事があるから出掛けよう!!」


照れ隠しのためにいきなりお仕事モードに入った姉さんであった。






    




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