あの滑走路の向こう側へ

きさらぎ ねこ

第3章 十三、同期と鎌倉へ



同期の唯と史緒里が遊びにきていて、
三人は鎌倉にいた。

「どうよ、他のエアラインって、
 しかも外資って、どうなん?」
史緒里が食い気味に聞いてきた。

「ほとんど転職組だから、
 みんな大人だよね」

「何か面白い事あった?」
次は唯が尋ねた。

「敬称がDr.の航空券、初めて見た」

「へー、うちの家族、
祖父も父も博士課程出てるけど、
あれを特別につける意味は何だろうね、
飛行機で特に役立つとは思えない人達よ」
唯はいかぶしげに言った。

その後三人は、唯のリクエストの
海辺のレストランでランチしていた。

「じゃ、美香の誕生日に乾杯!」
「ありがと!」

「そいえばさ、鎌倉の海を舞台にした映画、昔あったよね」
「『そして君に逢う』だよね?」

真樹と観に行った映画だった。

「そうそう、あの中で女の子が男の子に、
 “約束してくれる?私の30歳の誕生日、  
 この浜辺で花火でお祝いするって
 約束してくれる?”
 とか言うの、あったよね」

「あぁ、あったね」
美香が軽く頷く。

「はー、私も約束しときゃ良かったよ。
 30歳とは言わず、25ぐらいで」

嘆く史緒里に、
そだね、と美香は笑って答えながら、
真樹は覚えているのかなと考えていた。



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