あの滑走路の向こう側へ

きさらぎ ねこ

第3章 五、研修を言い訳に




12月、人肌が恋しくなる季節、
美香は何となく、東京行きの航空券を予約した。

イルミネーションで華やぐ羽田から
真樹に連絡してみたが、
クリスマス商戦の展示会で忙しいようで、
会えないまま、美香は帰った。

やっぱり約束もなく会いに行くのはツライなと、思いあぐねていた美香に、
羽田の研修の話が打診された。

小雪の舞う頃、
美香は羽田に降り立った。

1週間の研修の中休みに、
美香は真樹と会う約束を取り付けた。

「研修はどう?」
「こっちはスゴイよ、
空港内にクリーニング屋さんがあってさ、
タダなんだよ!
私らなんて、自分で洗濯してアイロン
かけてるってのに!」

あれこれ話す美香に、
真樹は静かにうなずいて聞いていた。




コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品