あの滑走路の向こう側へ

きさらぎ ねこ

第3章 一、プロローグ



滑走路に導かれ、
飛行機は滑るように羽田に降り立った。

機内からも清々しい秋の風が分かるような、気持ちの良い季節だった。

上原美香うえはらみかは到着ロビーから
モノレールの改札へ向かった。

美香は流れる景色を眺めながら、
学生時代の事を思い出していた。

今日はこれから、
大学時代の友達、菜々の結婚式だ。

披露宴の受付を頼まれていたので、
早めに会場入りすると、控室を目指した。

ノックして控室に入ると、
準備の整った純白のウェディングドレスの菜々がいた。

「菜々、おめでとう! 綺麗よ」
「ありがとう、美香、今日は受付ヨロシクね」

チャペルでの挙式は滞りなく執り行われ、
美香は受付の為、披露宴会場の入り口に向かった。

そこには見覚えのある姿があった。
美香は鼓動が速くなるのを感じた。

近付くと、その男性が静かに笑った。
「あ、美香ちゃん、久しぶりだね、
 僕、新郎側の受付なんだ」



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