あの滑走路の向こう側へ

きさらぎ ねこ

第2章 十、職場行事




朝晩が涼しくなり、
少し過ごしやすくなった頃、
リーダーの杉浦が異動した後任の内山が
唯の職場に加わった。

唯の会社には、ラグビー部があり、
この時期になると、
各部署が、懇親行事として、
試合の応援に行く。

この日は、経理と総務のメンバーで、
試合の応援に来ていた。

「芹沢さん、ラグビーとか観なさそうよね。あんま、汗臭そうなのと縁がなさそうな」
日焼け対策バッチリの山川が言う。

「ラグビー、観ますよ?
 祖父が学生時代にやってたらしく、
 国立とか、小さい頃から毎年」
「意外と、芹沢さんが一番ファン歴長いね」

ファン歴長い、に反応した河合課長が
「でも、スタジアムは初めてちゃう?」
と言うと、唯は答えた。

「いやー、実は学生時代、
何か楽器のサークル入ろうと思ってて、
オケ部に入る予定が、
ウッカリ応援団総部の吹奏楽部に入っちゃって。
野球にサッカー、アメフト 、バスケ、
ラグビーもスタジアム行ってました」

これは意外だな、と課長と内山が笑っていた。

「でも、社会人ラグビーは初めてです。
社員証提示したら、無料で観れるなんて、
また来ます」

唯は楽しみが一つ増えた。
今度、休みが合えば、紘太を誘おうと思った。




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