第82話　寂しい

　「はぁ～…」

　自然と私はため息をついていた。
　先日の暮人様が一人で訓練した日から、暮人様が「外での訓練をたまに一人でやらせてほしい」と言われてしまった。その時の暮人様の目を見る限り何かあると思った私は一応了承した。したんだけど…

　「やっぱり暮人様と一緒に入れないのは寂しい！」

　部屋に一人でいるからか普段は抑えてる感情があふれ出し大声で叫んでしまう。家の中ではリーちゃんとビィナちゃんが勉強しているけどそんなことは気にしない。

　「いっそのこと暮人様の訓練を少し覗くのも…。でも、もしバレて嫌われたらいやだし…」

　私の中で行こうか行かないかの葛藤が生まれる。どうして暮人様が一人で訓練したいと言い出したのか私にはわからない。ただ、わかっているのは、私が用事で一緒に訓練をできなかったあの日に何かあったってことだけだった。もちろん、暮人様が強くなられるなら嬉しい。でも、

　「せめて訓練の内容ぐらい教えてくれてもいいじゃないですか…」

　「まだ私は頼ってもらえる存在ではなかったのか？」と思うと少し悲しくなり、私はベットにうつぶせになり目を閉じた。その時、扉からノックがした。

　「サラ、今ちょっといいか？」
　「く、暮人様！？ま、まだ訓練中ですよね。どうかなされたんですか？」

　予想外の人物に驚きを隠せないまま言葉を返してしまった私は、すぐに身だしなみを整える。

　「少し見てもらいたいものがあるんだ。訓練場で待ってるから来てくれ」
　「は、はい。わかりました」

　自分でもさっきまでが噓みたいに、暮人様と話せて会えると思うだけで気持ちが跳ね上がっているのがわかる。
　私は準備を高速で終わらせ、暮人様が待っている訓練場へと向かった。