現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第72話 初めての実戦

 「それじゃあ始めるかビィナ」
 「はい!くれとさま」

 魔法を使えるようになったビィナは、どこか自身に満ち溢れていた。それは、暮人も薄々と感じていた。
 暮人も魔法を学び、サラと何度も実践を重ねていく中で、自然に生物に流れている魔力を感じれるようになっていた。
 サラとリーゼは言わずもがな壮大な魔力量だが、ビィナも劣らないぐらいすごいオーラを暮人は感じていた。しかし、サラとリーゼのように魔力が見えるわけではなく、あくまで何か異質なオーラがビィナの周りを漂っているだけだった。

 「では始めたいと思います」

 一定の距離まで離れた暮人とビィナの間に立ったサラが訓練を開始しようとした。
 暮人はいつものように構えを取った。それとは逆に、実戦は初めてなビィナはどうしたらいいのかわからず、ずっと慌てていた。

 「……始め!」

 サラの合図と同時に、暮人は威力を抑えめに調整した魔法をビィナに放った。
 ビィナは自分の方に向かってくる魔法にどう対処していいかわからず、普通によけれるはずの速度の魔法をもろに受けてしまった。

 「ビィナ!」「「ビィナちゃん!」」

 予想外の出来事に実戦を中断し、三人はビィナの方へと駆け付けた。

 「だ、大丈夫かビィナ?」
 「いてて…あっ!はい。大丈夫ですくれとさま」
 「は~よかった…」

 威力を抑えていたおかげで大事には至らなく、少し服が汚れたぐらいで済んだ。

 「これは…再戦でいいのか?」
 「う~ん…」

 さっきのこともあり訓練を続けていいものかを暮人とサラは悩んでいた。

 「もう一度やらせてあげてください。多分もう大丈夫だと思います」

 悩んでいる二人に頭を下げるようにリーゼが頼んだ。

 「リ、リーゼそんなことしなくても普通に言ってくれたらやるから…」
 「そ、そうだよ。ビィナちゃんのことが心配でちょっと悩んでただけだから」
 「じ、じゃあ再開しようか!」
 「そ、そうですね再開しましょう!」

 リーゼに頭を下げられどうしたらいいかわからなくなった暮人とサラは、慌てて再戦の準備をした。

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