第64話　最後の休日

　今後のやることが決まり、明日から本格的に実行することになり、今日の午後は休みになった。
　俺は久しぶりに一人で過ごしたいと思い、一人で街に来ていた。
　もともと一人が好きで、前の世界でも好んで一人でいることが多かった。しかし、この世界に来てからは、ほとんどの時間を誰かと一緒に過ごしていた。だから今日は、少し俺のテンションも上がっていた。

　「さて、何しようかな…」

　特に何も考えず街に来た俺は、考えながら道を進んでいった。
　しばらく考えながら歩いていると、自分が街を出ているのに気付いた。

　「いつの間にこんなとこまで…」

　引き帰ろうとしたが、今日は天気が良く、目の前には寝ると気持ちよさそうな草原が広がっていた。

　「せっかくの一人だし、ここでゆっくりするか」

　俺は草原の真ん中に寝ころび目を閉じた。
　何か起きるかもしれないと思い、一応警戒しながら眠りにつこうとした。
　たまに吹く風が心地よく、花の香りで心が癒されていった俺は、五分もしないうちに眠ってしまった。
　次に俺が目を覚ました時には、辺りは暗くなりかけていて、街の明かりがすごく目立っていた。

　「…さてと、そろそろ帰ろうかな」

　寝込んだ状態から立ち上がり、街の方へと歩いた。
　
　「この街にもいろいろな思い出ができたな…」

　この世界に来てまだ数か月だが、予想できないほどのいい思い出がいっぱいできた。
　もちろんそれだけではなかったが、この世界に来てよかったと思うぐらいには楽しい生活を送っている。そしてこれから俺たちが目標に向かって進む限り、絶対と言っていいほどいろんなことが起きる、それが良い方に転がるかはわからないが、それを踏まえてもこれからが楽しみだ。
　そんなことを思いながら、俺は夕暮れ道を歩いて家へ帰った。