現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第61話 疲れた朝

 窓から漏れる太陽の光で目を覚ました暮人は、昨夜の出来事で疲れを回復できずに朝を迎えてしまった。
 多少の体の重みを感じながらも、体を起こし部屋を出る。
 トイレをすまして洗面所へと向かおうとした時だった、リビングからエプロンを着たサラが出てきた。

 「…あ。く、暮人様おはようございます…」
 「あ、ああ。おはよう…」

 昨夜のこともあってか、暮人は気まずさのあまり、挨拶だけすまし洗面所へと向かおうとした。

 「く、暮人様!」

 急に大声で名前を呼ばれた暮人は、サラの方を振り返った。

 「ど、どうかしたのかサラ…?」
 「あ、あの…昨夜は大変失礼なことをしてしまって申し訳ありませんでした!」
 「覚えているのか?」
 「は、はぃ…」

 サラの落ち込みようを見た暮人は、さっきまでの気まずさがなくなり、どうフォローしようかを考えた。

 「ま、まぁ結果的には何もなかったわけだし、俺もいきなりで驚いただけで、別に怒っているわけじゃないからいいよ」
 「うぅ~、そう言っていただけるとありがたいです」

 昨夜の件はとりあえず一件落着したところで、暮人は昨日起きた出来事についてサラに話そうとした。

 「ところでサラ、昨日のことで何かリーゼから聞いたか?」
 「はい、大体は聞きました。とりあえずは暮人様が考えてくださった案でいこうかなと思っています」
 「そうか…」
 暮人は、自分が考えた案で本当にいいのか不安だったが、サラが賛同してくれたことにより一気に安心感が出た。

 「あと…リーちゃんからとはいえ、キスしそうになったことも詳しく聞きましたので、その話はまた後で…」
 「は、はい…」

 サラは、笑顔でそう言い残してリビングへと戻っていった。
 一人残された暮人は、ものすごい悪寒を感じながら洗面所へと向かった。

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