現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第58話 意外な才能(3)

 「くれとさま。りーぜおねえちゃんは?」
 「調べ物をしてるんだ。すぐ戻ってくるらしいから、俺とおとなしく待っていようか」

 訓練所から戻ってくるなり、暮人とビィナを置いて自室へと走っていき、もう15分ほど部屋に籠っていた。
 暮人はまだ、何故ビィナが魔法を使えたのか見当がついておらず、何かを察していたリーゼに期待していた。しかし、頼りのリーゼが一向に部屋から出てくる気配がなく、どうしようか考えていた。

 「ビィナは本当に魔法を知らないのか?」

 とりあえず何かビィナに聞いていけば、わかることがあるかもしれないと思った暮人は、主に魔法のことについて質問をした。

 「うん。しらない…」

 そもそも魔法のことを知らないんじゃ質問の意味がないと思った暮人は「そうか…」とビィナに築かれない程度に落ち込んでいた時だった。
 リビングで話していた2人を驚かす勢いで扉が開いた。

 「あ、ありました!」

 2人は声のした方を向いた。そこには、額に少し汗を流し、いったい何をしていたんだというぐらいしわしわになった服を着たリーゼが立っていた。

 「り、リーゼ。いったい何をしてたんだ?」

 リーゼの状態から考えて、かなり激しく動いていたことを暮人はわかっていた。

 「話すよりこれを読んでもらった方が早いです。ビィナちゃんも一緒にね」
 「わかった」「う、うん…」

 2人はリーゼに言われるがまま、リーゼが持っていたい1冊の本に目を移した。

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