異世界救う元漁師

琴瀬 ういは

いざ、王都へ

遂に学園に行く日が来た。

自分の荷物は空間にある一軒家に置いてきた。
ソフィアの荷物は、先に学園に送ったらしい。

今は村の入口に来ている。
俺とソフィアを見送ろうと、村のみんながやってきた。


「学園で沢山学ぶんだよ」


と村長が言うと、みんなから声援が飛び交った。


「頑張れよ!」「友達いっぱい作りなさいよ!」「騎士様もちゃんと守れよ!」


みんなから嬉しい言葉を貰った。
もちろんちゃんと守るつもりだよ。

最後にクレアさんが前に出てきた。


「ソフィー、頑張ってね。たまにでいいから、手紙を頂戴ね。それと・・・これを受け取って欲しいの。」


そう言って出したのは指揮棒の様なものだった。
けど、新品ではないな。
誰かが使った感じがする。

それを見てソフィアは手を震わせながら受け取った。


「・・・大事にする。・・・お父さんの、形見だから」


なるほど。
父親の形見だったのか。

ミナト・アルカディアだっけ?
この村を救って、英雄になった人か。
その人が使ってた武器?なのかな。


「さ、行ってらっしゃい!学園があなた達を待っているわよ!」

「・・・行ってきますっ」

「行ってきます。クレアさん、村長、アニマさん、村のみんなっ!」


俺とソフィアはバイクに乗り、手を振ってから走り出した。
学園までは、馬で一週間だが、バイクなら3日程で着くだろう。

途中で野宿をしながら行くコースで考えて行こう。

しばらく走ると、森の街道を抜けた。
あたり一面、草原が広がっている。

すごく綺麗だ。


「・・・おぉ・・・とてもキレイ」


ソフィアは周りの景色を楽しんでいた。
たまにウキウキしているせいか、俺を掴む手に力が入る。

さすがに座りっぱなしなのもキツイから、休憩を挟んだ。

木の下に出来た日陰で休む。
朝から走ってきて、今は10時位だろう。
もう少し走ったら、昼食にしようか。


「ソフィア、行くぞ。」

「・・・ん、りょうかい。」


バイクを運転するのも久しぶりだったが、感覚は覚えていて良かった。

地球に住んでいた時、免許取っといて良かったよホント。
そんなこんなで、昼食を食べ、また走り、夕方になったからテントを作った。

夕食は現地調達、つまり狩りだ。
この世界には、魔物の他に普通の生き物もいる。
兎や豚、牛とか犬、猫etc…などなど。

今夜は兎肉のシチューにしました。
ちなみに料理はソフィア担当だ。

神界から持ってきたバックに食料は入れてきてなかったため、野菜などもあまり無い。
バックには衣類とかが入っているだけである。


「出来たよ。召し上がれっ。」

「いただきます。・・・んっ!うまい!」

「・・・良かった。」


なんだろう。
ハーブでも入れたのかな?
香りがすごくいい。

俺は皿に盛り付けられたシチューを完食した。


「おかわりっ!」

「・・・ん、どうぞ。」


うますぎて馬になったなこれ。


腹が満たされたところで、俺は周りに結界をはり、テントの中に布団を敷いた。

テントは2つある。
さすがに年頃の女の子と2人きりはまずい。


(私の分のテントはないの?)

(アンジュは俺のテントだ。)


俺はアンジュをテントに連れて行ってから、焚き火していた火を消し、ソフィアにおやすみを言ってテントに戻った。

もうアンジュと寝るのは慣れてしまった。
でも、そこまで不満でもない。
寝相が酷いとか、いびきがうるさいとかは無いから、よく眠れていると思う。


学園に行ってから、一つだけ不安なことがある。
それはソフィアが虐められないかどうかだ。

ソフィアは病気を持っている。
まだ歳は14歳なのに、ちゃんと生きられないのは辛いだろう。
でもお金があれば治せる。

だから俺が金を集めないとな。


そんなことを考えていると、眠たくなってきた。
もう寝よう。

俺は目を瞑り、意識を離した。





(・・・ご主人、お腹・・・いっぱい)


ん?
アンジュか?もしかして寝言かな。
今ので目が覚めた。

テントの外に出ると日は少しのぼっている。
あと、何かを料理している匂いがする。
ソフィアが何か作ってるのかな。

俺は焚き火していた場所に行った。


「・・・おはよう。・・・よく眠れた?」

「おはよう、よく眠れたよ。それ朝ごはん?」

「・・・ん、簡単な物だけど。」

「いいよ、朝ごはんに丁度いい量だ。」


俺は顔を洗い、ソフィアと一緒にごはんを食べる。
アンジュ?まだ寝ているよ。
後で起こさないと行けないな。

俺たちは朝食を食べ終え、俺はアンジュを起こし、ソフィアは食器などを片付けた。


ちなみに精霊と契約していることは、ソフィアや他のみんなにも秘密にしている。

丁度、ソフィアも片付けが終わったらしい。
こちらに向かってきた。


「・・・こっちは準備万端。」

「よし、行くか。」


俺たちはバイクに乗り、走り出す。
着くまでの残り2日も、特に何もなく俺たちは無事、ベルクレール王国の王都に来れた。

王都に入るのに検問があったが、問題なく通れた。

さぁこれからどうなるか、楽しみだな。












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