水魔法しか使えませんっ!〜自称ポンコツ魔法使いの、絶対に注目されない生活〜

地蔵さん

勇者再び

声のした方向にギギギ、と首を巡らすと、、、


「お前が魔族だという事はもう分かっている。」


いやぁぁぁぁ、やっぱり勇者ぁぁぁ、、、
なんでここに!?つーか俺魔族扱いなの!?どーゆーこと!?


「図星を突かれて絶句しているようだな。」
「い、いや、少なくとも魔族では無いはずなんですけど?むしろあなたは何者なんです?」
「俺は別の世界から召喚された勇者のレンだ。」
「別の世界ってどうゆう?」
「見え透いた時間稼ぎだな。クリストフ殿、あなたも違和感は感じるだろう。」
「う、うむ、、、しかし勇者殿、本当に先ほど仰っていた魔族なのですかな?」
「ええ、こいつこそがあなたの息子に成り代わった魔族です。」


うわぁ、何かとんでもない勘違いされてる。


「えーと、勇者サマ?何か証拠はおありなので?」
「“パラポネラ”」


武装してなかったから完全に油断していた。
勇者は空間から魔剣を召喚すると、そのまま俺の腹に突き立てた。


「ガッ!?」
「もう、問答など必要ない。」


ただ刺されただけなら、こんな程度では無いだろうという程の痛みが全身を駆け巡る。
剣を抜かないと、いや、回復?解毒?


勇者が手のひらをこちらへ翳す。


「ちょ、待、、、」
「“ホーリィバースト”」




光と火の魔方陣が重なって空中に浮かんだ。






次の瞬間、目の前が真っ白になって衝撃と灼熱が俺の体を包んだ。










・・・ソフィ視点・・・


ロコー家からほど近い魔族領の岩場。
岩場の影になった所に目隠しとなる岩を置き、人一人が隠れられるスペースにソフィが座り込んでいた。


「よし、やるか。」
イオリが向かってからしばらくして、蜘蛛を起動する。


今までずっと私を苦しめてきた蜘蛛の胴体だが、離れてこうして見ていると、不思議な愛着を感じるから不思議だ。
私と接合されていた部分には魔石がはめ込まれており、そこからアクアゴーレムの制御を行っている。
見た目に弱点がバレバレなので、今はそこら辺の藁を乗っけて隠している。


「それにしても、、、」


蜘蛛の視点を見せてくれる画面の前には、イオリがどこからともなく取り出したクッションが2枚とドライフルーツがおいてある。
お尻の下にクッションを敷き、もう一枚のクッションを抱きしめながらおやつを食べながらやるのがスタンダードかつトラディショナルなスタイルなのだと豪語していったが、一体どこの文化なんだか。
しかも本来は【こーら】と【ぽてち】というアイテムが必要なんだそうだが、生憎まだ見つかってないらしい。


何にせよ、クッションがあるのは間違いなくありがたい。
コントローラーを握りしめると、蜘蛛がゆっくり立ち上がった。


やることは人里を襲うという物騒なもんだが、生まれて初めての自分で何かをするという事にすごいワクワクしている自分がいる。


せっかくだ、後でイオリとも相談してこいつ(蜘蛛)にも何か名前をつけてやろう。




「出撃!」

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