水魔法しか使えませんっ!〜自称ポンコツ魔法使いの、絶対に注目されない生活〜

地蔵さん

ロコー家へ

という訳でロコー領に向かって出発だ。


あれからソフィが練習したいというのでしばらく練習に付き合い、家に着く頃には太陽が昇ってしまっていた。
最初で最後の不良行為だな。
これが終わったらもうこの家に帰ってくる事もないだろう。


あー、部屋に色々置いたままだな。
まぁしょうが無い。
何も無いって事はそれだけ自由って事なんだ。
そう思う様にしておこう。


家の近くまで来た所で、人目につかなそうな岩場の影にソフィに待機してもらう。
「それじゃ、10分後に襲撃してきてな。」
「オッケ!」
「もしなんかあったらこれを使って。」


そう言って渡したのは緑色のポーションだ。


「、、、分かった、何かあったらこれで自決する。」
「いやいやいや、俊足のポーションだから。何かあったらそれ飲んで逃げろ。」
「あいよ、まぁ人間領からはある程度離れてるし大丈夫だろ。」
「それじゃ、また後でな。」


ソフィと別れ、ロコー家に向かって走る。
だんだん家が見えてきた所で、いつもとは様子が違う事に気づいた。


我がロコー家は堀に囲まれている。
その中で魔族領側に当たる家の裏口の方には川が流れていて、それが堀の代わりになっている。
そして、魔族領側に渡るには、跳ね橋を下ろさないといけない。
普段はメンテナンスの時位しか降りないはずの橋が下ろされていた。


まぁ、俺が家出したのがバレて家中騒動にでもなってるんだろう。
いくら不肖の息子とは言え、いきなり消えたら一大事だからな。




そう思いながら家に近づいていくと、跳ね橋の上に誰かが立っている。
あれは、、、父ちゃん?


なんだってこんなタイミングで?
普段は見ることも叶わないはずの人が立っていた。
前に会ったのはおよそ半年前、近所の森の魔物狩りに連れていかれた時以来じゃないか?


「、、、イオリ。」
「ち、父上、、、あーその、これは違うんです!」


やべぇ、いきなりの人物の登場に考えてたセリフが全部ぶっ飛んだ。


「何が違うのだ?」
「あー、それはその、ほら、朝僕がいなかった件ですよ!ちょっと早起きして魔法の練習をですね。」
「魔族領でか?」
「いぃ!?そ、そんなことはないですよ!近くの森でやってたんですよ。いやだなぁ魔族領なんて、そんな怖い所行けるわけないじゃないですか。」
「、、、そうか。」
「さ、早く家に入りましょう。僕は朝から頑張りすぎてお腹ぺこぺこなんですよ。」


なんとか誤魔化しには成功したな。
よし、後は少ししたら蜘蛛が突っ込んで来るはずだ。
そうしたら上手いこと立ち回ろう。


、、、にしても、父ちゃんがいるとは、蜘蛛のサポートを考えないといけないか?
などと考えながら橋を渡っていると




「そこまでだ。」




でじゃぶー!?
すっごい聞き覚えのある声!!

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