水魔法しか使えませんっ!〜自称ポンコツ魔法使いの、絶対に注目されない生活〜

地蔵さん

水魔法で出来る事

と言うわけで、悪巧みの時間である。


ちょっと性急だけど、もう家族とはオサラバしよう。


今回利用するのは元アラクネさんことソフィの元下半身の蜘蛛さん。
下手するとロードローラー位の迫力がある。ちょっとお腹が破れてはいるけど、そこはちょいと目を瞑って、、、ロコー領に突っ込ませる!
超巨大蜘蛛の強襲に、揺れるロコー家一同!
蜘蛛の溢れるパワーの前になすすべもなく一人、また一人と倒れていくロコー領の人間達。
そんな中、ボロボロの体で蜘蛛の前に立ち塞がるのが一人。
そう、ロコー家三男イオリ君である。
家族の静止をよそに、命を賭した大津波を発生させ
る。
かくして、蜘蛛は巨大な大波に攫われ、ロコー領には平和が戻るが、そこには三男の姿だけが無くなっているのであった。


〜完〜


「完、じゃないわ!」
「そうだな、カンの利用は計画的に。未来を見据えないカンはドラがノリに乗ってエラい事に。」
「何言ってるか全然分かんないんだよ!せめて私の分かる言語で喋れよ!」
「でも良い感じじゃない?計画自体は。」
「穴だらけではあるけど、その手順通りに進めば上手く行くんじゃないか?あくまで、お前が言った通りに進めば、だぞ?」


そう、問題はいくつもある。
蜘蛛の残骸をそれらしく動かせるのか、そもそも猛者揃いのロコー家を使用人含め全員無力化なんてできるのか、そしてロコー家を圧倒するほど強い魔物を倒せるだけの迫力を大津波の魔法で演出できるか。
他にも色々考えられるとはいえ、これは成功させなければならない。
これは、俺がこの王国貴族の歯車の一部に納まってしまうか、そこを飛び出すことができるのか、一番の分岐点とも言って良い。


その為にはMIA(生死不明)が一番ベストだ。
行方不明くらいだと捜索隊に追われ続ける人生になってしまう可能性がある。
生死不明ともなれば、この殺伐とした世の中なら一年も見を隠せば死亡扱いだろ。




「そもそもこんなデカ物どうやって動かすんだ?」
「それは大丈夫。こいつで上手いことできるはず。」


そう言って取り出したのは、前々から作っておいた水の魔石2つ。


「そんなもんどうするんだ?」
「まぁまぁ見てなさいワトソン君。“アクアゴーレム”」


魔石の一つに魔力を込め、水のゴーレムを作り出す。
水で作ったゴーレムなので、決まった形を持たない。それを蜘蛛の中に浸透させて動かしてやろうというわけだ。
という訳で、ゴーレムを蜘蛛の腹から侵入させてみる。
蜘蛛の全身に拡散させて、、、魔力を込めてみる。
おお、立った立った。
よーしよし、今のところ順調だな。


「いや、ゴーレム作成の魔法ってそうゆうもんじゃないから。そんな自由に形は変えられないから。そして入れたとしてもこの巨体を自由に動かすとか無理だから。」
「いや、そこは水を操作する“フロウマネジ”でちょちょいとするわけよ。俺は水魔法しか出来ないけど、それだけは上手く使えるからさ。」
「その設定、未だにお前の中で生きてたんだな、、、」
「こらこら、俺はソフィの前で水魔法しか使ったことないだろ?」


「、、、(ここへ数時間で駆けてこれる身体強化に、魔石の作成、そして今のゴーレム、一つも納得いかんのだが)」
「一つも納得してない顔だな。」
「まあいいや、後でいくらでも聞く時間はあるから。」
「そうそう、そうゆう事でひとつ頼むよ。」

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