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水魔法しか使えませんっ!〜自称ポンコツ魔法使いの、絶対に注目されない生活〜

地蔵さん

アラクネ

顔に向かって 、蜘蛛の前脚がまっすぐに突き出されてくる。 
脚の太さが俺の顔と同じくらい。
当たったら、穴が開くというより、首から上がなくなってしまう。


ギリギリ首を捻ってかわすと、すぐさまもう一方の脚が迫ってくる。 


今度は胴体に向けて横薙ぎの一撃。 


俺は右手を横に伸ばし、そのままその蜘蛛の足をすくい上げるように受け流した。 


少女の見た目とは裏腹に、クモの脚は黒光りしてるし硬そうな毛は生えてるしで大変キモい。
毒とか何かが仕込まれていそうなこの脚、そのまま触るわけにはいかない。
そういうことで、ヤツの脚と腕との間には水のクッションを敷いてある。 


息つく暇もなく、今度は少女ののほうが闇魔法の詠唱を完了し、 闇の矢を放ってきた。 


ほぼ真上から降り注ぐそれを 、クモの腹下にスライディングする形で回避。


そして腰に差していた短剣を抜き放ち、ヤツの腹に真下から突き入れた。 


短剣は風を切って腹に突き立つが 、カチンと音を立てて表面で止まってしまった。 


さすがにこんなあからさまな場所を弱点にはしていないようだ。


すぐさま横にゴロゴロと転がってやつの足の間から脱出する。
直後、 ドォン!という音共に、脚を浮かし、腹を地面に押し付けた。
あれに挟まれていたらひとたまりもなかっただろう。 


腹を地面につけ動きの止まったところへ、俺は飛び上がり今度は逆に腹の上に上がった。 


そのまま、少女の背中に向かって短剣を突きだそうおすると 


少女とクモの接合部分から、少女の上半身だけがくるんと回ってこちらを向いた。 


目があった瞬間、両手から蜘蛛の糸を放射状に放出する。 


俺は短剣の刀身に水をまとわせひたすら蜘蛛の糸を切るが、 上半身は守れたものの足に糸が絡まってしまった。 


息つく暇もなく、第二第三の 蜘蛛の糸が放射されていく。


最終的に俺の両足は、獣腹の上に完全に縫い付けられてしまった。 


何だってこうファンタジーやフィクションの世界の蜘蛛というのは 


手や口から 糸が出るんだろう。 


お前ら本来尻からしか出ないだろ。 尻から。 


心の中で愚痴っていると、 
「もう逃げられんぞ、観念しな。」 


クモの方から声をかけてくる。 


「こんな所に縫い留めてしまったら、 お前も自慢の足がほとんど使えないぞ。」 


と忠告してやると、 


「お前なぞこれで十分よ。 “パラポネラ”」


少女の手には 一振りの剣が握られていた。 


彼女の髪の色と同じ漆黒の剣。
ちょっとでもかすれば体にいい影響はないだろう 、そんな気がする。




アラクネの少女は 右手を振り上げ、首筋に向かって袈裟斬りに切りつけてきた。 


俺は体をねじりながら、更に短剣で相手の太刀筋に自分の太刀筋を合わせるよに受け流した。


(重い!) 


こいつ見た目は少女だというのに、ものすごい馬鹿力である。 


太刀筋は単純なので読みやすいものの、まともに剣を打ち当てて鍔迫り合いみたいなことはできない。
こんななまくらでは一発で折れてしまうだろうし、そもそもこちらは足を封じられてしまっていて踏ん張りも効かない。


最初の内はうまく受け流せていたのだが、だんだんとこちらがバランスを取れなくなってきた。
そして、ちょっと手が浮ついたところを見逃してはくれなかった。


「ホラッ!」
剣を思いっきり横薙ぎに振り払ってきた。 
その斬撃は短剣の鍔本にあたり、衝撃で俺の手を離れすっ飛んでいった。 


「これで」


そんな言葉を吐きながら少女は手を引き、突きの体制に入る。 狙いは鳩尾。
顔には歓喜の表情が張り付いている。


「殺った!」
「甘いっ!」


少女が突きを繰り出した瞬間、こちらは思いっきり上にジャンプした。 


「なっ!?」


跳躍などできるはずがないとたかをくくっていた少女は反応できずに突きの体制から立ち直れない。 俺はそのまま少女の後ろに回り込んで、首筋にに短剣を当てた。


「チェックメイトだ。」

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