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ウ〇コ時間に読めるショートショート

けったいん

偶然か必然か【4月18日をテーマにショートショート】


「これは大発明だ!」
男は、自室で大きな声をあげた。

ついに、夢だったアマチュア無線を自分の手で完成させたのである。

実は、アマチュア無線を作ったり使ったりするには様々な申請や手続きが必要だ。
面倒くさいように思えるが、改良や手続きなどの全てに
その小さな手間がかかること自体が、アマチュア無線の魅力だったりもする。


次の日、男は完成した無線の部品をいじりながら、
適当に音楽チャンネルを聴いていた。

すると突然、
「…ツギハ沖縄ニ……‥ザザッ……レーザーデ…」
という音声が雑音交じりに聴こえてきた。

どこかの無線を傍受してしまったらしい。

会話の内容が気になった男は、周波数を慌てて調節する。
「…オ香デ……ザザッ……ザザッ……眠ラセテ…」
同じ会話の続きが聞こえるが、まだまだ雑音交じりだ。

しかし、内容を聴けば聴くほど、ますます怪しい。

これは傍受であって盗聴ではない、単なるハプニングだ。
男は自分に言い聞かせる。

無線での傍受は盗聴とは異なり、犯罪には当たらないが、
盗聴だと犯罪になってしまうからだ。
そこの線引きは、作為か無作為かでされることが多い。

大きく息を吐いて、男はまた耳を澄ませる。

「…イイ歯ダ……ザザッ‥‥邪魔ダナ……薬ハ……」
まさか、誰かが捕まっているのだろうか。

しかし、男には一つ分かったことがあった。
この音声を聴く限り、傍受したのは無線でのやり取りではなく、
どこかに仕掛けられた盗聴器の電波のようだ。

犯罪者のアジトにでも仕掛けられた盗聴器なのだろうか。

恐ろしい会話はまだ続く。
「……毛穴カラ…‥ザザッ……注入シテ…ザザッ……」
男は怖くなり、堪らず無線のスイッチを切った。

潜めていた息を大きく吐き出す。
こんなことに首を突っ込みすぎるのも良くない。
でも、何かの犯罪だったら警察に伝えなければいけない。

男の中の恐怖と正義が戦った結果、
わずかだが正義が勝った。

すぐさま様々な部品を改良して聴こえやすさを改善する。
少しハイになっているからか、
頭の回転も手際もいつもより数倍速い。

早速、改良した無線機でさっきの周波数に合わせてみる。

「…はい。分かりました。…ザザッ……時ですね。」
今度は女の声だった。何か電話をしているようだ。
先ほどよりはかなり聴こえやすくなっている。
「…はい。…場所は、…ザザッ…○○市△△2の3…ザザッ…」

男は驚いた。
その住所が、男の家からたった一駅ほどの場所だったからだ。
男の中の正義が恐怖を打ち負かす。

・・・

気が付いたら、男は電車に乗っていた。
さっきの住所が書かれたメモを握りしめて。

メモに書いた住所は、
駅の西口から5分ほど歩いたところのようだ。

東口には飲み屋街があり、男も何度か利用したことがあるが、
西口の住宅街の方に来たのは初めてだった。

閑静な住宅街を抜け、目的地を目指す。
あの角を曲がれば、もうすぐだ。

鼓動が早まってくる。
あたりを見渡すが、不審な人影もなさそうだ。

「ははっ」
目的地に着いた瞬間、男は思わず声をあげて笑ってしまった。

【 タケナカ美容整形外科 】

という看板が掛けられているのが、はっきりと見えたからだ。
たしかに、聴こえてきた言葉も美容整形外科なら納得がいく。

とてつもない安堵感と勝手に勘違いしてしまった恥ずかしさで、
どっと疲れが押し寄せてきた。
少し頬を赤らめながら、男は駅に戻ることにした。

しかし、ふと一つの疑問が頭を遮り男は足を止めた。

なぜ、あんな場所に盗聴器が仕掛けられているんだ…?

背筋が凍る。
安堵感が一気に恐怖へと変わる。

すると、男は突然何者かに後ろからハンカチで口を覆われ、
薬で眠らされてしまった。


次に男が目を覚ましたのは、
煌々と照らされた手術台の上だった。


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4月18日は、
アマチュア無線の日
よい歯の日
発明の日
毛穴の日
お香の日

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